早稲田大学の入試で“メガネ型端末”カンニング 他大も含めて何度も“成功”しているが、大学側は「防止するのは夢のまた夢」

AI要約

早稲田大学の入試問題をスマートグラスを使って流出させた男子受験生が偽計業務妨害容疑で書類送検された。彼は他の学部でもカンニングをしており、今回の行為が明るみに出るきっかけとなった。

スマートグラスを使ったカンニングが発覚し、学部だけでなく他の大学でも同様の犯行が行われていた可能性がある。こうした不正行為が続く中、大学側は監視機器の導入や対策の強化が必要とされる。

スマホやスマートグラスを使ったカンニングは増加傾向にあり、文部科学省も対策を講じているが、不正行為の防止にはさらなる対策と徹底が求められている。

早稲田大学の入試で“メガネ型端末”カンニング 他大も含めて何度も“成功”しているが、大学側は「防止するのは夢のまた夢」

 世の中がどこまで進化しても、ズルをしたがる人の心は変わらないようだ。早稲田大学の入試問題をメガネ型の情報通信端末「スマートグラス」で流出させて大学の業務を妨害したとして、警視庁戸塚署は16日、偽計業務妨害容疑で東京都町田市の男子受験生(18)を書類送検した。

「受験生は今年2月、早大創造理工学部の入試で化学などの問題をスマートグラスで撮影し、隠し持っていたスマートフォンに画像を送信しX(旧ツイッター)上に流出させ、解答を外部に求めていた疑いがある。『共通テストで志望国立大に落ちて思い立った』などと供述しています」(警視庁担当記者)

 受験生がカンニングに使ったスマートグラスは一見普通にみえるメガネの端に小さなカメラが備えられており、スマホなどに無線で送信できるもの。

 最先端技術を駆使した、といいたいところだが、カンニングが発覚した経緯をみるとそうでもない。

「Xで問題を受け取った一人が不審に思って早大に通報し、早大側が不審な受験生を発見しています。要は解答への協力を外部の不特定多数に頼ったことからバレたわけで、かなり場当たり的な犯行です」(同前)

 むしろ、問題はそんな場当たり的な犯行にも関わらず、この学部のほかに複数回、他大学も含めてカンニングに「成功」していたことかもしれない。

 捜査関係者が明かす。

「受験生は別の大学でも同様の手法でカンニングを行ったと警視庁の調べに打ち明けており、調子に乗って今回の学部の受験でカンニングを続けていなければ、捕まらなかった可能性もある」

 スマホを使ったカンニングは誰しも思いつくものなのかもしれない。2022年には共通テストでスマホで撮影した問題を外部に送信した女子学生が書類送検されたほか、一橋大の留学生向けテストで同様にカンニングをした中国人の男が有罪判決を受けている。

 文部科学省は昨年の共通テストから、スマホの電源を切り、カバンにしまう過程を確認する運用に改めたが、それだけでは不正が今後も起きかねない。

「警視庁が関わる運転免許試験では中国人らによる通信機器を利用した集団カンニング事件が発生して以降、電波遮断装置などを使って対策を徹底している。大学側も性悪説に立って対策の抜本的な強化が必要なのではないか」と指摘するのは警察関係者だ。

 ただ、大学関係者は「大学受験は毎年、教員や院生などをかき集めてなんとかこなしているのが実情。監視関係の機器の導入は夢のまた夢です」と頭を抱える。

 スマホにスマートグラス……カンニング術を磨く暇があるなら勉強しろ、と親でなくとも言いたくなる。