『入退院は48回』自身も薬物・アルコール依存症を抱える施設職員...過去には自傷行為や服役の経験も 「ちょっとずつでも居場所が増えていくように」当事者らの社会復帰を支援

AI要約

依存症患者を支える施設で働く職員が自らも薬物依存症を抱えている現実に迫る。

利用者たちの日常や取り組み、職員の支援活動が描かれている。

薬物依存からのリカバリーに向けて施設での取り組みや治療薬の重要性が示唆されている。

『入退院は48回』自身も薬物・アルコール依存症を抱える施設職員...過去には自傷行為や服役の経験も 「ちょっとずつでも居場所が増えていくように」当事者らの社会復帰を支援

 精神科病院への入退院は48回。依存症の患者を支える施設で働く48歳の職員は、自身も薬物やアルコールの依存症を抱えています。誰にでもなり得る“脳の病気”。当事者側と支える側の2つの立場で向き合う男性の思いに迫りました。

 大阪市内の一室に集まる人たち。彼らは“ある共通の症状”を抱えています。ここは「リカバリハウスいちご長居」。ギャンブルやアルコールなどの依存症を抱える人たちの社会復帰を支援する施設です。

 (利用者)「『二度と帰ってくるな』とか言われて」

 (利用者)「『こんなに飲んで神経のしびれがひどくなったら神経切れます』って言われました」

 (利用者)「ひとりにならずに、やめ続けていくことが目標」

 職員の渡邊洋次郎さん(48)は、6年ほど前からこの施設で働いています。

 (渡邊洋次郎さん)「ここは午前9時半から午後6時まで開いているんですけど、飲酒とか薬とかギャンブルとかで生活自体をうまく組み立てられていない方が、もう1回生活リズムをつくる」

 1日の過ごし方は人によって様々。内職として、100円ショップで販売される商品を作る人やイベントで使われるキーホルダーの材料を作る人。さらに、一度施設に顔を出した後、外出する人もいます。

 有本勇樹さん(36)は2年前にアルコール依存症と診断されました。

 (有本勇樹さん)「(勤務先の)店がコロナ禍に潰れて、どうしようもなくなって。僕なんかいらんのちゃうかなとか思ったりも1人だったからしていて、誰にも相談できずにお酒に逃げていた感じでした」

 現在は週に数回、施設から紹介された清掃などの仕事をしています。

 (有本勇樹さん)「スタッフさんから(新しく)介護の仕事もあるから1回やってみないかって声をかけてもらっていて。一歩一歩前に進んでいっているなとは実感しています」

 昼食時、施設に戻った有本さんが何かを冷蔵庫から取り出します。

 (有本勇樹さん)「これは肝臓のアルコール分解をさせへんようにするもので、お酒を飲んだらめちゃめちゃ苦しくなる薬です。退院してから毎日飲んでいます」

 医師から治療薬として処方された抗酒剤。1人では飲むことから逃げてしまうと、職員がいる前で薬を飲むと決めています。

 (渡邊洋次郎さん)「一応確認はしています。お酒を飲みたくなったりすると(抗酒剤を)飲まない人もいたりするかなと」