「内部告発→不当な異動」 大塚食品、男性従業員の訴えを正式に否定「違法な人事異動は一切ない」

AI要約

大塚食品は男性従業員による提訴について声明を発表した。男性は異物混入を通報した後、不利益な扱いを受け、うつ病を発症したとして220万円の損害賠償を求めて提訴した。

訴状によると、男性が異物混入を通報した際、問題が明らかになり再発防止の指導があったが、社内での処分はなかった。男性は異動後不当な扱いを受け、うつ病と診断された。

大塚食品は提訴に関する報道に対して謝罪し、訴訟内容や食品安全について回答。内部通報制度に関しても説明した。

「内部告発→不当な異動」 大塚食品、男性従業員の訴えを正式に否定「違法な人事異動は一切ない」

 大塚食品は公式サイトを通じ、今月13日に報じられた男性従業員による提訴について、声明を発表した。

 今月13日、同社の男性従業員が、滋賀工場(滋賀県湖南市)で製造する食品に異物混入があったと公益通報をした後、部署を異動させられ不利益な扱いを受けうつ病を発症したなどとして、同社に220万円の損害賠償を求めて大津地裁に提訴した。

 訴状によると2021年11月、粉末状の食品を入れていたポリ袋から黒いほこりや緑色の樹脂片などを検出。男性が所属する品質管理課が調査した結果、食品の包装に使ってはいけないポリ袋を使用していたことが判明し、22年6月に滋賀県食品安全監視センターへ公益通報した。

 県は工場などに立ち入り調査し再発防止を指導したが、社内で問題に関する処分は実施されなかった。男性は23年4月に別の部署へ異動となり、業務を与えられず監視カメラが自分の席に向け設置されるなどの扱いを受け、同年8月にうつ病と診断されたとしている。

 提訴後に大津市内で記者会見した男性は「会社は内部通報者に対し報復しないとうたっているが、実際は報復人事が横行している。公益通報者保護法をきっちり守ってほしい」と訴えた。

 同社は報道から4日後となる17日に公式サイトを通じ、「当社への提訴に関する一部報道につきまして」のお知らせを更新。「この度は、一部報道にございます当社への提訴につきまして、お客様や関係者の皆さまにご心配をおかけしており、お詫び申しあげます」と謝罪し、「皆さまからいただいている主なご質問を、以下の通りまとめました」と、Q&A形式で見解を記した。

 「提訴されたことは事実か」という問いには、「現時点では当社へ訴状が届いておらず、内容を確認できておりません」と回答。また、食品の安全性について問われると「原材料の受け入れから製品の試験まで適切に行っており、製品の安全性に問題ございません」とした。

 また「異物が入った製品があったのか」という問いには「2021年11月、製造前の原材料において異物が発見されたことがございましたが、当該原材料はすべて廃棄しており、お客様のお手元に届く製品には一切使用しておりません。よって、製品に異物が混入したという事実はなく、出荷した製品には問題がないため、製品回収の対象でもございません」と主張。

 「報道にあるポリ袋とは、どのようなものですか」には「製造前の原材料を一時的に保管しておくポリ袋を指します。当該ポリ袋は、外部公的検査機関にて試験を行い、安全性を確認しております。なお現在では、より安全性が高いポリ袋に交換し、所轄官庁にて問題ないことを確認いただきました」とした。

 さらに「通報者に対して不利益となる人事異動を行ったのか」という問いには「当社では、通報したことを理由に、違法な人事異動や異動後の取り扱いを行ったことは一切ございません」と否定。内部通報制度に関しては「内部通報窓口を設置しており、通報・相談にはすみやかに調査を行う等、適切に対応しております」と説明した。