第2の「3億円事件」 実った執念 有楽町現金強奪 警視庁150年 79/150

AI要約

警視庁の雪辱を果たすため、東京で現金輸送車が襲われ3億円が奪われる事件が発生。

捜査本部は犯行車両に残された毛布を手掛かりに犯人のアジトを突き止め、国際強盗団を特定。

約1年後に警視庁は犯人の逮捕状を取得し、2人がフランスで逮捕される。

第2の「3億円事件」 実った執念 有楽町現金強奪 警視庁150年 79/150

昭和43年に東京都府中市で起きた「3億円事件」で、警視庁は面目を失った。事件を解決できず、世間には犯人への「人を傷つけずに大金をものにした」という不謹慎な共感さえ漂った。そんな警視庁にとって61年11月、東京・有楽町で現金輸送車が襲われて3億円が奪われた事件は、雪辱のときといえた。

事件は11月25日朝に発生。三菱銀行(当時)有楽町支店で現金輸送車が襲われ、現金3億3300万円と有価証券が奪われた。

事件直後に犯行車両が見つかり、2日後には東京・元赤坂の豊川稲荷で現金の一部が見つかる。みつかった一部の新札には指紋が残っており、犯人のものと疑われた。

遺留品は624点。物証の豊富さは迷宮入りした府中3億円事件と重なる。些末(さまつ)な証拠に惑えば、またもや未解決に終わる可能性もあった。

捜査本部が着目したのは、犯行車両に残された毛布だ。ホテルなどで使われているもので、捜査本部は毛布を手掛かりに犯人が使っていたホテルを割り出した。発生から300日を迎えようとしていたときだった。

ホテルの部屋の契約者はフランス人の男。男の足取りを丹念に追い、出入国カードに記されていた千代田区のマンションを突き止めた。犯人グループのアジトだった。

執念は実った。3億円を奪った男たちの正体は、フランス人とアルジェリア人からなる4人の国際強盗団だったと判明した。

事件から約1年後の62年11月、警視庁は死亡した1人を除く3人の逮捕状を取った。うち2人は、後にフランス警察に逮捕された。(内田優作)