南海トラフ地震臨時情報 行動方針「策定」 静岡県内企業6割超 主要30社 アンケート 発表機に「検討」7社

AI要約

初の南海トラフ地震臨時情報発表から1カ月が経過し、静岡新聞社が県内主要30社に実施したアンケート結果を通じて、企業の対応が明らかになった。

臨時情報を受けて、多くの企業が行動方針の策定や修正に取り組む中、BCPの策定が進められる企業が6割を超える結果となった。

企業の対応は様々で、特に災害対策本部の設置や社員への周知、柔軟な対応策の構築が注目されている。

南海トラフ地震臨時情報 行動方針「策定」 静岡県内企業6割超 主要30社 アンケート 発表機に「検討」7社

 初の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表から1カ月となる8日に合わせ、静岡新聞社が県内主要30社に実施したアンケートで、臨時情報が出た際の行動方針を以前から事業継続計画(BCP)に策定済み、策定中の企業は19社と6割超を占めた。発表を受けて行動方針の策定や修正を開始、検討する企業も7社あり、南海トラフ地震に対する意識の高まりが顕著に表れた。

 各社の行動方針は災害対策本部の立ち上げや避難場所の周知、備蓄品の確認などに加え、業態や社員の部署、勤務地などに応じた柔軟な取り決めも見られた。複数の企業は「注意」「警戒」など臨時情報の段階ごとに対応を定め、状況次第で業務継続可否の判断や社員の帰宅、自宅待機などの指示を下す。全体的には通常の勤務態勢維持を原則としつつ、地震発生を想定して社員個々の警戒意識を引き上げる対応が目立つ。

 今回の臨時情報発表を受けて方針の策定、修正に乗り出す企業は、既存のBCPに「臨時情報への行動方針を明記する」「対応のリストアップ」などを予定。転倒防止や安否確認、防災教育徹底など平常時の備えを強化する企業もあり、「危機意識や対応を見直す契機になった」と前向きな声が多い。「策定する予定はない」とした企業も、「初動の確認は進める」などとしている。

 発表の仕方に対する企業の受け止めはさまざま。国や専門家が当初から「警戒」とともに「冷静な行動」を呼びかけたことで「混乱を回避できて助かった」との声がある一方、別の企業は「運営への影響を考えると今後の発表頻度が気になる」とコメント。想定震源域の最西端で起きた地震で「東海、関東などの地域も一律で対応を求めるのは過剰では」との指摘も寄せられた。自治体の対応にも温度差があるとして「政府の強いメッセージや説明」を求める企業もあった。

 調査は9月2~11日に実施し、県内の大規模企業を中心に30社から回答を得た。