7歳で嫁いだ豊臣秀頼は祖父に殺され、次の夫は31歳で早世…徳川家康の孫・千姫がたどった数奇な運命

AI要約

千姫は徳川家康の孫であり、豊臣秀頼が亡くなった後、姫路城主の本田忠政の息子・忠刻の正妻になった。

千姫は姫路に滞在した期間は短く、わずか9年間だった。

姫路城には多くの怪談や伝説が伝わっており、その一つにお菊井戸という井戸から幽霊のお菊の声が聞こえるという話がある。

徳川家康の孫、千姫とはどんな人物だったのか。歴史作家の河合敦さんは「最初に嫁いだ豊臣秀頼が没した後は、姫路城主の本田忠政の息子・忠刻の正室となった。だが、姫路にいたのはわずか9年だった」という――。(第2回)

 ※本稿は、河合敦『武将、城を建てる』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

■姫路城が舞台の「怪談・皿屋敷」

 奇妙な話は、たいてい一つや二つ、城には伝わっているものである。姫路城にも七不思議(じっさいには七つ以上ある)が残っている。

 せっかくなので、いくつかを紹介しよう。

 姫路城本丸のすぐ南、上の山里と称する台地に直径3メートルもある古井戸がある。かなり大きいので、姫路城を見学した方は印象に残っているはず。かつてお菊という娘が惨殺され、この井戸に投げ込まれたことからお菊井戸と呼ぶそうだ。

 井戸からは時折、幽霊と化したお菊の声が聞こえるという。1枚、2枚、3枚とか細い声で数を数え、9枚目に来ると悲しそうにすすり泣き、ふたたび一枚から数えなおすという。

 今から500年以上前の永正年間、まだ姫路城主が小寺則職の時代の話である。小寺氏の家老・青山鉄山は、主家の乗っ取りをたくらんでいた。これに対し、同じ家老の花房常秀は企みを察知し、お菊という娘を鉄山の屋敷に住み込ませ、情報を収集させていた。しかし結局、小寺則職は鉄山に姫路城を奪われ、お菊も間者であることがばれてしまう。

 すると鉄山は、姫路城奪取の祝宴に小寺氏家宝の皿10枚を使用するが、宴後、それを1枚隠し、わざとお菊に皿を片付けさせ、足りないのをお菊のせいだとしてさんざん拷問にかけたうえ、最後は斬り殺して例の井戸に投げ込んだのである。

 それからというもの、毎夜皿を数えるお菊の声が、井戸の底からこだまするようになったという。

 この話は播州皿屋敷として、昔からこの地方で語り継がれている。ただ、皿屋敷の物語は全国各地に散在する。内容も時代もそれぞれ違うが、どういうわけか、被害者の名がお菊、古井戸から皿を数える声というのだけは共通している。