“紀州のドン・ファン”元妻「殺していません」初公判で無罪主張 直接証拠なく…“殺害”立証は?
和歌山・田辺市で起きた元妻が資産家を殺害した罪で裁判にかけられる事件。元妻は無罪を主張し、直接的な証拠がない中、検察は状況証拠を積み上げている。
被告の検索履歴や事件当日の状況などが証拠として提示され、事件の真相が裁判で明らかにされる展開。
裁判の始まりから須藤被告の無罪を主張する姿勢まで、事件の背景や証拠について詳細に報じられている。
“紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家の男性を殺害した罪に問われている元妻の裁判員裁判が始まりました。元妻が殺害したとする直接的な証拠がない注目の裁判。元妻は、「殺していない」と無罪を主張しました。
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和歌山・田辺市にある草木が生い茂った一軒家。この家のあるじが亡くなったのは6年前のことでした。自伝によると交際した女性は4000人。貢いだのは30億円。スペインの伝説上のプレーボーイになぞらえ、「紀州のドン・ファン」と自ら称していた野崎幸助さん。生前「最後の女性」と語っていたのが…
記者(2018年)
「(事件から)約1か月たつが何か思われることは」
「奥さまきょうはなんで戻ってこられたんですか」
須藤早貴被告(当時22)
「…」
須藤早貴被告。2人の年の差は当時55歳。結婚してわずか3か月後に野崎さんに多量の覚醒剤を摂取させ、殺害した罪などに問われていますが、須藤被告の犯行を裏付ける直接的な証拠はこれまで見つかっていません。
事件の真相は…
記者
「須藤被告を乗せたとみられる車が和歌山地裁に入りました」
12日から始まった裁判。黒のワンピースにマスク姿で法廷に現れた須藤被告。その冒頭、はっきりとした声で…
須藤被告
「私は社長(野崎さん)を殺していませんし、覚醒剤を飲ませたこともありません」
起訴内容を全面的に否認、無罪を主張しました。
直接的な証拠がない中、検察側が積み上げてきたのが状況証拠です。
1つは須藤被告の検索履歴。事件の4か月前には「遺産目当てと呼ばれた女5選」という動画を検索し閲覧。事件の2か月前には「老人 完全犯罪」「衝撃 驚くべき完全犯罪」など「完全犯罪」という言葉を何度も検索。
事件直後には、「ばれずに殺せば正義」「遺産相続 どれくらいかかる」「東京都内の億超えマンション」などと検索していたといいます。
状況証拠2つ目は、事件当日の状況です。この日、自宅にいたことが確認されているのは野崎さん、須藤被告、そして家政婦の3人です。
死亡推定時刻などから算出すると、野崎さんが覚醒剤を飲んだ時間帯、家政婦は外出していて、家にいたのは野崎さんと須藤被告の2人だけだといいます。
検察側は、須藤被告が覚醒剤を摂取させる十分な機会があったと主張しています。