私はなぜ総裁選に挑むのか! 自民党随一の俊英、「全身政治家」齋藤健経産相を田原総一朗が直撃

AI要約

齋藤健経産相が自民党総裁選に名乗りを上げ、政治家としてのリーダーシップや歴史観に注目が集まる。

後藤田正晴氏と中曽根康弘氏の政治家としての姿勢や歴史への取り組みが紹介され、将来への責任や国家の方向性を問うている。

自衛隊、国民世論、金融バブルなど、歴史から得た教訓を政治に活かす姿勢が示唆されている。

私はなぜ総裁選に挑むのか! 自民党随一の俊英、「全身政治家」齋藤健経産相を田原総一朗が直撃

<倉重篤郎のニュース最前線>

◇特別インタビュー

 齋藤健経産相が総裁選に名乗りを上げた。「官僚の信頼を集める政治的リーダーシップ、身ぎれいな振る舞い、深い歴史観など、いまの自民党、いや政界全体のなかで図抜けた存在」と田原総一朗は言うが、果たして齋藤健とはどんな政治家で、何を構想しているのか。本誌の特別インタビューでお届けする――。

◇それでもやはり自民党しかない/日本経済再興の絶好のチャンス/中国の軍事力をどう抑えるか?

 政治家は歴史とどう正対すべきか。二つあろう。一つは過去の歴史から何を学ぶか。もう一つは未来の歴史にどう責任を取るのか。

 印象に残る政治家として、後藤田正晴氏という人がいた。なぜ日本があの無謀な戦争に突入したか、日本近現代史の最大の論点について、軍隊という組織、軍事という政策の非可逆的な自己増殖性と、日本国民の一斉に同じ方向に走り出す横並び意識を挙げていた。

 台湾で陸軍中尉として敗戦を迎え、軍の専横を目撃してきた者として、戦後の自衛隊の予算・装備の拡張志向には厳しく目配りし、外務省が対米支援を理由に自衛隊を海外に出そうとしたことにも反対した。中曽根康弘政権の1987年、米国からペルシャ湾へ自衛隊の掃海艇派遣を求められたが、官房長官として辞表を胸に「蟻(あり)の一穴」論で、その動きを封じた。

 横並び意識については、その背景に、国民世論が一つの方向に突っ走ると、それを制御する異論、対案が出にくくなる国民性があると分析、当時直面した80年代後半の金融バブル現象に対して、銀行の横並びの融資競争に早い段階から警鐘を鳴らし規制した。歴史から得た教訓を現実の政治に活(い)かそうとした。

 中曽根康弘という人もいた。首相時代に「戦後政治の総決算」「国際国家日本」との理念を掲げ、国鉄民営化を断行、冷戦終結に向けて世界を走り回った。評価はさまざまだが、「政治家は歴史法廷の被告」を信条に政治家の現在の言動は未来を決定してしまう、その未来に恥じない仕事を日々することを自らに課す、という姿勢は好感が持てた。