真夏に急増“レジャー密漁”あきれた言い訳も 闇に紛れ何が? 海産物を守る最後の砦

AI要約

密漁が急増する夏の海岸で、海上保安庁が悪質な密漁者たちを取り締まる様子。

勝浦エリアでは特に密漁が多く、崖や入江などの死角が問題となっている。

海からウニや貝を密漁していた男性たちが検挙される様子。

真夏に急増“レジャー密漁”あきれた言い訳も 闇に紛れ何が? 海産物を守る最後の砦

日本の海産物を守る最後の砦。海上保安庁。密漁者たちのあきれた言い訳。真夏に急増する「悪質な密漁」を追います。

高級食材のイセエビや肉厚で歯ごたえ抜群旬のアワビなど、海の幸の宝庫、房総半島のとある海水浴場。

保安官

「銚子海上保安部です。これは何の貝ですか?」

男性

「…アサリかな」

保安官

「アサリじゃないと思いますけど」

この海岸ではとることが禁止されているハマグリとコタマガイが合計6キロもありました。

保安官

「違反ですね」

男性

「これが違反だというのは、申し訳なかったと思うけど、全然分からないので」

保安官

「そう思うならやらなきゃいいんじゃないですかね」

とることが禁止とは知らなかったといいますが、検挙され、海上保安部で話を聞くことになりました。

日本のほとんどの海岸では漁業権が設定され、対象の貝や海藻、イセエビなどの密漁は100万円以下の罰金が科されます。

しかし、行楽シーズンの夏にはレジャー感覚でついついとってしまう、いわゆる「レジャー密漁」が急増するといいます。さらに、大量な密漁や組織的な悪質なケースも後を絶ちません。

なかでも、千葉県内で検挙数が多く“密漁多発地帯”ともいえるのが勝浦エリア。

この日、保安官たちが向かったのは海が一望できる高台。指揮を執る田代班長の下、違反者を発見する担当、証拠をカメラで抑える担当など分担し監視します。

勝浦エリアで密漁が多い理由の一つが、数十キロにわたり高い崖や深い入江などが続く死角が多いためだといいます。

潮が引く時間に密漁者が現れるといいますが、崖下の岩場に若い男性3人組と、麦わら帽子を被った高齢の男性の姿があります。

取材スタッフ

「(岩を)ひっくり返してる」

すると、なんとウニをその場で食べたのです。

取材スタッフ

「食べてるんじゃないですか。ウニを割ってなめてるんじゃないですか」

一方、高齢の男性は。

保安官

「トコブシみたいなの左のポケットに入れたね。よし、じゃあ行こうか」

しかし、崖下に降りるための階段がありません。見ると、鉄柵に取り付けたロープがあります。ここから崖下に降りたようです。保安官もそのロープを使って、けもの道のような急な坂を下りていきます。崖下に降りて声を掛けます。

保安官

「こんにちは、すみません。海上…。どうした?どうした?」

男性

「いやいや、違います」

声を掛けた瞬間、突然、踵を返す男性。

男性

「いやいや、違います」

保安官

「まぁ落ち着きましょう」

男性3人組は地元の友達同士で20代。

保安官

「何に使うつもりでとったんですか?」

20代男性

「今から勝浦の海に釣りに行こうと思って、貝を餌(えさ)にしようと思って」

保安官

「とったのは何ですか?」

男性

「この貝は『トコブシ』です」

保安官

「知ってるでしょ?地元の人なんだから」

男性

「すぐに逃がします。本当にすみません」

とっていたのは、ウニ4個とトコブシ8個。

保安官

「バレなかったら持って帰ろうとしていたんでしょ?バレたから返しますって言っているんでしょ?」

男性

「いや本当に、砂浜で成果として写真を撮って逃がそうと本当に思ってました」

保安官

「お兄さん、それやめよう。だって今『釣りの餌にする』って。さすがにそれを信じるほど馬鹿じゃないから」

男性

「今すぐこれは逃がして元に戻すので、今回は許してほしいです」

何とか「許してほしい」と訴える男性ですが…。

保安官

「私たちも見た以上はこのまま良いですと言って終われません。協力して下さい」

3人は密漁を認め、検挙。さらに先ほど崖下にいた高齢の男性が、あのロープを使って上がってきたところで声を掛けます。

保安官

「かばんとか見させてもらってもいいですか?」

70代男性

「ダメだよ」

保安官

「何でですか?持ってるからでしょう?」

ようやくかばんを開けると、中からは高級食材のトコブシやサザエが次々と出てきました。

保安官

「うわ。いっぱい入ってるよ」

トコブシ45個にサザエ2個など1万5000円相当。

千葉県では使用禁止の特殊な器具も使っていました。

男性

「酒のつまみ。それが大好きなの。これ持っていけないの?なんで?いっぱいとっちゃったのに」

保安官

「これは全部海に返します」

「密漁だとは思わなかった」と言いますが、すぐ後ろには密漁を警告する看板もあります。

男性

「すごいな、俺こんなにとったんだ」

保安官

「大変なことになっちゃうから」

この男性と、先ほどの20代の3人組とも漁業法違反として検挙。この後取調べを受けますが、100万円以下の罰金の可能性があります。