〈追及・斎藤兵庫県政〉「告発者は誰だ!」4人の県職員の1年分のメールを勝手に閲覧…徹底した“犯人さがし”と恫喝…百条委では産業労働部長がしどろもどろに「トータルでいえば知事の指示」とも

AI要約

元西播磨県民局長が自死に追い込まれた事件で、幹部らが違法な個人情報を取得しようとする過程が露呈した。

告発文書を送ったAさんに対し、幹部は協力者を特定するための手段を講じていた。

斎藤知事らはAさんを嘘つき呼ばわりし、文書の内容を否定している。

〈追及・斎藤兵庫県政〉「告発者は誰だ!」4人の県職員の1年分のメールを勝手に閲覧…徹底した“犯人さがし”と恫喝…百条委では産業労働部長がしどろもどろに「トータルでいえば知事の指示」とも

斎藤元彦兵庫県知事やその側近の違法行為疑惑を告発した元西播磨県民局長、Aさん(60)が自死に追い込まれた事件。県の中枢にいる幹部がAさんの協力者をあぶりだすため、別の2人にもパソコン押収などの“強制捜査”をかけようとしたほか、少なくとも4人の県職員の1年分のメールを本人にも無断で調べていたことが分かった。幹部らの間で違法な個人情報の伝達が蔓延していたことも露呈した。

Aさんは3月12日、斎藤知事や側近による公金不正支出や選挙違反、日常的なパワハラやタカリなど7項目の違法行為疑惑を書いた匿名の告発文書を県議や記者ら10人に郵送した。

3月20日に文書の存在を知った斎藤知事は、翌21日には“牛タン倶楽部”と陰で呼ばれる側近グループの片山安孝副知事(7月末に辞任)と井ノ本知明県民生活部長(4月に総務部長昇進後、更迭)、原田剛治産業労働部長、小橋浩一総務部長(4月に理事昇進後、更迭)の4人を集め調査を指示。その後、小橋氏はAさんのメールの解析を人事課に命じている。

「これら県幹部はメールの中に告発文書の骨子があるのを見つけ、Aさんに(攻撃の)狙いを定めました。ただ、ほかにも協力者がいると疑い“同時ガサ入れ”を試みます」(県関係者)

関係者によると、牛タン倶楽部は「庁内調査手順」という文書を作成。3班に分かれ、Aさんとともに、仲が良かった県職員のXさん、Yさんの計3人の職場に3月25日午前に同時に踏みこむ計画を立てる。当日、Aさんがいた西播磨県民局長室に入ったのが片山副知事ら2人だった。その際の約50分間のやり取りの音声が残っている。

「片山副知事が『誰に聞いたんや?』と詰問しましたが、Aさんは『言えません』『みんな噂してますよ』と、情報元を明かすことを頑なに拒んでいました。すると片山副知事は『噂をまとめたということやな』と、勝手に整理しています。

ただ、この時の片山知事の本当の狙いは、協力者の割り出しでした。人事ラインの幹部が『こんな告発は絶対一人ではできひん』と主張したため、拡散させた仲間がいると思っていたようです。

結局、Aさんのパソコンから告発文書を郵送した10人の宛名ラベルのファイルが出てきたため、“単独犯行”との見方に落ち着いたんです。実際にXさんの職場にはガサが入りましたが、パソコンの押収まではありませんでした。Yさんは職場に不在でその日は調べは受けていません」(県関係者)

 「噂をまとめた」との片山副知事の勝手な解釈を聞いた斎藤知事は、翌々日の3月27日の記者会見でAさんを「嘘八百」「公務員失格」と罵倒。文書の内容が次々と事実と判明している今も「Aさんが噂話を集めて書いたと認めたので、文書には真実相当性がない。そのためAさんは公益通報者として保護される対象ではなく、懲戒処分は適正だった」との趣旨の主張を続けている。