市役所窓口もATMも 台風接近で計画運休・休業相次ぐ熊本県内

AI要約

台風10号の接近に備え、熊本県内では交通機関の運休や商業施設の休業が相次ぎ、猛烈な風や大雨が予想されている。

多くの公共交通機関が運休し、商業施設や銀行も臨時休業となる。また、自治体は避難所の開設や公民館の休館などの対応を強化している。

災害警戒本部の設立、ダムの事前放流などの対策が進められており、木村知事は早めの避難を呼びかけている。

市役所窓口もATMも 台風接近で計画運休・休業相次ぐ熊本県内

 非常に強い勢力を保ったまま北上を続ける台風10号の接近に備え、熊本県内では29日から交通機関の運休や商業施設の休業が相次ぐ。熊本地方気象台は大雨や猛烈な風が見込まれるとして、一層の注意を促している。

 気象台によると、台風10号は29日夜から30日未明にかけて、県内に最接近すると予想される。29日の夜から30日にかけては、飛来物でけがをしたり、走行中のトラックが横転したりする可能性もあるような猛烈な風が長時間にわたり続くと見込まれる。

 29日夜までに線状降水帯が発生する可能性もある。午後6時からの24時間総雨量は多いところで、球磨、熊本、阿蘇の各地方で400ミリと予想される。

■陸、海、空の交通が運転見合わせ

 多くの公共交通機関は29日、終日運休となる。JR九州は県内のほとんどの路線で運転を見合わせ、熊本電鉄や南阿蘇、肥薩おれんじ、くま川の鉄道各社や熊本市電も運休する。路線バスを運行する各社も運休を発表した。フェリーの運航各社は全便を欠航し、空の便では日本航空と全日空が熊本空港発着の一部の欠航を決めた。

 商業施設では、鶴屋百貨店やサクラマチクマモト、アミュプラザくまもとが29、30両日、臨時休業する。肥後銀行は37カ所の、熊本銀行も15カ所の屋外のATM(現金自動出入機)を両日、営業休止する。

 自治体も警戒を強める。熊本市は28日、「高齢者等避難」(警戒レベル3)を発令。29日発令の見込みだったが、線状降水帯が発生する恐れがあるとして前倒しして、公民館などに避難所を開設した。市は29、30日の終日、熊本城などを含む市の施設を休館とし、市役所・区役所の窓口も閉じる。

■ごみ収集の中止も

 天草市や人吉市、球磨村が避難指示(レベル4)を出した。地域によってごみ収集が中止されるなど、住民サービスへの影響も広がっている。

 県は28日、災害警戒本部を設置。農業用など各地のダムで事前放流して、洪水を防ぐための調整容量の確保を進めていることなど情報共有を進めた。

 災害警戒本部の会議で、木村敬知事は「県内で災害発生のリスクが極めて高い状態にある。逃げ遅れゼロをめざして、早めの避難所開設や明るいうちの避難をお願いしたい」と呼びかけた。(吉田啓、杉浦奈実、渡辺淳基)