知床岬の携帯基地局着工は早くて2年後、オジロワシや植生を再調査

AI要約

知床世界自然遺産(北海道)の知床岬で計画されている携帯電話基地局の整備事業は、2026年度以降の着工となることが明らかになった。KDDI(au)は完成を目指していたが、オジロワシの生息状況や植生の再調査が必要と判断された。

事業は国立公園の保護地区であり、自然保護団体らの反対が相次いでいた。オジロワシの営巣木が存在し、繁殖や生息に重要な役割を果たしている。

環境省の許可後、影響調査の不備が指摘され、再調査が要求された。オジロワシは知床の多様性を象徴する猛禽であり、影響調査には時間がかかる見込み。

知床岬の携帯基地局着工は早くて2年後、オジロワシや植生を再調査

 知床世界自然遺産(北海道)の知床岬で計画されている携帯電話基地局の整備事業は、早くても2年後の2026年度以降の着工となることがわかった。事業を主導するKDDI(au)は今年度内の完成・供用をめざしたが、来年秋まで希少種オジロワシの生息状況や植生の再調査が必要になった。

 知床岬での基地局は、電源として通信会社4社分の太陽光パネル設備(264枚、約7千平方メートル)や約2キロに及ぶケーブル埋設工事などが予定されていた。岬エリアは国立公園の特別保護地区で遺産地域の「核心部」とも呼ばれ、自然保護団体や研究者らからの反対表明が相次いだ。

 岬エリアにはオジロワシの複数の営巣木があり、繁殖やエサ場として利用されている。環境省は今年3月に工事を許可していたが、のちに事業者がオジロワシへの影響調査をしていなかったことが判明。環境省の助言機関、知床世界自然遺産地域科学委員会が6月の緊急会議で他の動植物への影響も含めた再調査を求め、工事は中断された。

 オジロワシは絶滅危惧II類で、遺産登録では知床の生物多様性を象徴する猛禽(もうきん)類として評価された。オジロワシへの影響調査は春の営巣から抱卵、巣立ちまで一貫した調査が必要で、環境省は来年秋までの調査を事業者に求めた。