途上国教育支援、日本に期待 国際機構幹部「TICADで議題に」

AI要約

アフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合で教育支援に焦点が当てられ、来年の首脳会合でも教育協力が議題となる見通し。

国際基金GPEの関係者は日本に教育分野への支援拡充を求め、日本の教育制度が経済発展に貢献した経験を共有することで存在感を高める可能性を指摘。

日本のODAでは教育分野への配分が少なく、他の主要国に比べて割合が低いことが課題となっており、国際機関に対する支出額でも日本の拠出が不透明な状況。

途上国教育支援、日本に期待 国際機構幹部「TICADで議題に」

25日に閉幕したアフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合では教育を巡る課題についても議論し、来年8月の第9回首脳会合では教育協力が議題の一つとなりそうだ。日本は他の主要国に比べ、この分野を重視してきたとはいえず、途上国の教育支援に取り組む国際機関の関係者も支援拡充を求めている。来年の首脳会合に向け日本が存在感を発揮できるかが問われている。

■「日本の存在感高められる」

「日本に対する期待が高まっている。来年のTICADで教育分野を取り上げてもらいたい」。来日中の国際基金「教育のためのグローバルパートナーシップ(GPE)」のチャールズ・ノース副最高経営責任者は産経新聞の取材にこう訴えた。

ノース氏によると、ロシアからの侵略を受けるウクライナへの支援や、難民・移民問題で、主要国からの国際教育協力分野への政府開発援助(ODA)予算の割り当てが減少する可能性がある。

ノース氏は、日本の教育制度が経済発展に寄与したことや学校給食制度などが海外で評価されていることを挙げ、「(日本の教育に関する)経験や知識を途上国と共有することで、日本の外交的な存在感を高めることができる」と強調し、支援の拡充を求めた。

岸田文雄首相が議長を務めた昨年5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の首脳声明は、「教育」に関する項目を設け、「最も疎外された子供たちのために、より強固な教育システムを構築することを支援する」と明記した。

■社会インフラへの配分少なく

国際教育協力で日本がイニシアチブをとる姿勢を示した形だ。ただ、その訴えに政策が追いついていない現状がある。

日本のODAの約8割を占める2国間援助で、2022年の教育分野への配分は総額約186億ドルのうち約6億6000万ドルと、3・58%にとどまる。輸送や通信など経済インフラには全体の44・4%を配分する一方、教育を含む社会インフラへの配分は20・8%で、G7各国の中で最も割合が少ない。

国際機関に対する資金支出では、アフリカの教育改革なども支援するGPEが21~25年の活動資金を各国に募った21年7月の増資会合で、英国が6億ドル、フランスが4億ドル、ドイツが3億9000万ドルの拠出を表明する中、G7で日本だけが拠出額を明示しなかった。