スポーツ庁など所管の独法JSC 自死児童ら125名分の個人情報資料を誤廃棄 遺族「危機意識が足りない」

AI要約

独立行政法人JSCが個人情報を含む125名分の書類を誤って廃棄し、それが特に敏感なケースであるいじめ被害の児童の分も含まれていたことが判明。

遺族は不信感を募らせており、JSCは謝罪しているものの、個々への謝罪が欠けており、遺族からは不十分との声が上がっている。

また、深刻な個人情報漏洩の可能性もある中でJSCは危機意識が不足していると指摘され、改善が求められている状況。

スポーツ庁など所管の独法JSC 自死児童ら125名分の個人情報資料を誤廃棄 遺族「危機意識が足りない」

独立行政法人JSC=日本スポーツ振興センターが、医療関連などの個人情報が記された125名分の書類を誤って廃棄していたことが分かりました。いじめを受けた末に自殺した児童の分も含まれていて、遺族は不信感を強めています。

名古屋市の齋藤信太郎さん。中学1年生だった長女の華子さんは6年前、いじめを受けた末に自ら命を絶ちました。齋藤さんは今も、学校の対応をめぐって名古屋市との裁判を続けています。

そんな中、先月下旬に届いた手紙。

齋藤信太郎さん

「ある日帰宅すると封筒が来ていて、初めて知った」

学校などで子どもがけがをしたり、死亡するなどの事故に遭ったりした際、保護者に給付金を支払う制度を運営する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」からの謝罪文。そこには…

「個人情報の滅失について(お詫び)」「この度、災害共済給付支払請求関係書類を保存期間満了前に廃棄し、滅失したことが判明しました」

JSCはスポーツ庁と子ども家庭庁が所管する独立行政法人で、オリンピック選手らの支援も行っています。

廃棄された災害共済の給付に関する文書については、「公文書等の管理に関する法律」のもと、内部規定で3年間保存するよう定められています。

ところが今回、JSCは単純な人為的ミスにより2年で廃棄してしまったというのです。もし3年目に関係機関から災害共済の給付に関する問い合わせがあれば、答えられない恐れがあるといいます。

齋藤信太郎さん

「連絡もなく書面一枚送りつけて終わりだという姿勢には『それでいいの?』というのは、読んだ瞬間、思いました」

廃棄された書類には、華子さんが自殺を図った際の医療機関への受診記録など極めて重要な個人情報が含まれていました。

齋藤さんは、そうした個人情報が外部に漏れた可能性は無いのか電話でJSCに問い合わせました。すると「第三者への漏洩はない」と回答があったと言います。

明らかになったずさんな文書管理。JSCはどう考えているのでしょうか?

JSC災害共済給付事業部 斉木一明 部長

「法人文書を期限を迎える前に廃棄してしまうということは、本当にやってはならないことになりますので、もうどんなにお詫びしようが、お詫びしきれないという思いでございます。今回125名分の方に対してご心配ご不便をおかけしているところでございます」

一方、一人一人への謝罪ができなかった理由としては、JSCの契約者が事故にあった個人ではなく、「学校の設置者」、つまり自治体などだったためとしながらも…

JSC災害共済給付事業部 斉木一明 部長

「遺族の方に関しましては、とても深い悲しみの中でこのようなさらに文書をなくしてしまって、それも謝罪文一つで送りさせていただいたというとことは、確かに配慮と言いますか、謝罪としては謝罪もしくは説明については、保護者の目線からしてみれば、不十分と言われればおっしゃる通りだと私も思っておりますので、この場を借りてになりますけれども大変申し訳ないことをしたなというふうに思っているところでございます」

JSCは既に監督官庁のスポーツ庁や子ども家庭庁に報告したとしていますが、齋藤さんは“危機意識が足りない”と憤りを隠せません。

齋藤信太郎さん

「先日センターと話す中で、『紛失した資料の一部は、その後、関係機関から再発行してもらうなどして、再度保管している』という話があったが、『いつですか?何の報告も受けていません』と答えると、向こうも一瞬、間があった。『前回の者とちがう者』と言っていたが、情報の共有の仕方もより一層不信感をもったし、世の中でいう「報連相」がセンターという組織で正しく機能しているのか、それも含めて改善すべきことは多々あると今も思っている」