老舗旅館にも祭壇!?ファンイベントで約3700万円の波及効果も 温泉むすめ・飯坂真尋 若い世代を呼び込みたい温泉街の光に【福島発】
温泉むすめとは、全国各地の温泉地に存在する下級の神さまたちのキャラクターであり、地域活性化のために立ち上げられたプロジェクトである。
福島市の飯坂温泉では、熱い盛り上がりを見せている温泉むすめの一人、飯坂真尋ちゃんが特に人気で、観光大使として活躍している。
飯坂温泉では温泉むすめを活用した観光事業が展開され、地元魅力を若い世代にアピールする取り組みが行われている。
いま全国の温泉地でブームを巻き起こしている「温泉むすめ」。全国の温泉地など120カ所以上にオリジナルのキャラクターが存在する。福島県内には、5人の温泉むすめがいて、特に熱い盛り上がりを見せているのが福島市・飯坂温泉だ。
そもそも「温泉むすめ」とは、全国各地の温泉地に宿る「下級の神さま」たちのことで、都内のキャラクター制作会社が、東日本大震災をきっかけに地域活性化のために立ち上げたプロジェクト。
福島県福島市にある飯坂温泉のキャラクターは、趣味はくだもの狩りで、飯坂けんか祭りが大好きな飯坂真尋（いいざか まひろ）ちゃん。2019年から飯坂温泉の特別観光大使も務めていて、温泉街のいたるところでその姿を見ることができる。
さらにスマートフォンのカメラ越しに真尋ちゃんが現れ、観光案内してくれるコンテンツもあり、真尋ちゃんの声を聞きながら温泉地を観光できる。
アニメや漫画などのファンが、その縁の地をめぐる「聖地巡礼」。観光協会には、温泉むすめのファンが自分たちのグッズを奉納する「祭壇」が設けられ、全国各地、さらには海外からも観光客が訪れる。
2023年9月に行われたファンイベントには、750人が参加し宿泊やお土産の購入などで約3700万円の波及効果が発生。知名度の向上につながっている。
飯坂温泉観光協会の齋藤利香子事務局次長は「国内外に発信してくれる強力な観光大使となっています」と話す。
「温泉むすめ」とのコラボレーションに、力を入れる旅館もある。穴原温泉「吉川屋」は、創業184年の老舗旅館で、渓谷を望む絶景の露天風呂が心と体を癒してくれる。そんな館内の一角には「温泉むすめ」グッズが並べられた「祭壇」がある。3年前から設置しているという。
吉川屋の畠正樹社長は「飯坂真尋ちゃんプロジェクト実行委員会」の初代委員長として「温泉むすめ」を用いた様々な事業を展開してきた。
畠社長は「飯坂温泉をもっと全国にPRしたくて、飯坂真尋ちゃんを使った温泉むすめの活用のプロジェクトを始めたのがきっかけ。真尋ちゃんは、自分の娘といいますか、愛情が…家族の一員みたいな感じです」と話す。
若い世代の観光客誘致に課題を抱える飯坂温泉。地元の魅力をぎゅっと詰め込んだ飯坂真尋ちゃんは、若者へのアプローチに最適だったという。
