世界で“争奪戦”…バイオ燃料となる使用済み天ぷら油『廃食油』国内回収と消費が日本のエネルギーの支えに
揚げた油の廃食油がバイオ燃料の原料として活用されている。日本のメーキューや小島組がその取り組みを行っている。
廃食油は回収され、バイオ燃料化されています。三重県四日市市ではバイオ燃料を使用した浚渫船が稼働しています。
バイオ燃料はCO2排出量を削減し、環境に配慮した取り組みとして注目されています。
天ぷらを揚げた油『廃食油』が、バイオ燃料の原料として活用されている。バイオ燃料は、CO2の排出量を“実質的にゼロ”にできるとして需要が急速に高まっていて、世界各国の間で“争奪戦”となっている。その争奪戦に挑む、日本の現在地を取材した。
名古屋市守山区の「メーキュー」は社員食堂の食事や学校給食などを提供していて、名古屋市内を中心に20カ所に納入している。
1日に2000食ほどを作っていて、大人にも子供にも人気の揚げ物は、全てここで調理されている。1カ月で200リットルものてんぷら油が使われているということだ。
それだけ使えば残るのが、使い終わった天ぷら油「廃食油(はいしょくゆ)」だ。
表面に浮いているのは揚げ物の衣だが、この廃食油がもう“お役目御免”というワケではない。
廃食油を回収する業者がタンクローリーで到着すると、ポンプを使い、ものの3分で1カ月分の廃食油を吸い上げた。
メーキュー 企業給食事業部 纐纈良太さん:
「新しく燃料に生まれ変わって、社会の役に立っていると聞いています。回収していただいて『バイオ燃料』に変換している」
“天ぷら油”がいま、「バイオ燃料」に活用されている。
三重県四日市市では、海底の土砂を掘り上げる「浚渫(しゅんせつ)工事」が行われているが、この巨大な船を動かすのにも廃食油由来のバイオ燃料が使われている。
小島組 小島琢洸取締役:
「バイオ燃料で稼働している第381良成丸という浚渫船で、パワーも何も変わらず通常のA重油とほぼ変わらない感じ」
名古屋市港区に本社を置く小島組は2024年3月、中部地区で初めて港湾工事の作業船に活用した。「脱・炭素社会」実現への様々な取り組みが求められる中、従来の設備に改造を加えることのない“現実的な対応策”として手応えを感じている。
小島組 小島琢洸取締役:
「通常はA重油という燃料を使うが、A重油に対して(バイオ燃料を)24%混ぜて作業しています。バイオ燃料が100%植物性由来のものなので、24%のCO2が削減されている考え」