「引退は人事異動」 社会人野球のレジェンド トヨタ自動車 佐竹功年投手(40)家族が支えた野球人生

AI要約

トヨタ自動車に所属する“社会人野球のレジェンド”と呼ばれるピッチャーが、この夏引退しました。家族に支えられた野球人生を追いました。

佐竹功年(さたけ かつとし)投手40歳は、去年のアジア大会でも活躍し、チームからの引退勧告を受けて引退を決意しました。

最後の舞台は都市対抗野球大会で、家族の応援の中、感謝を胸に終わりを迎えました。

「引退は人事異動」 社会人野球のレジェンド トヨタ自動車 佐竹功年投手(40)家族が支えた野球人生

トヨタ自動車に所属する“社会人野球のレジェンド”と呼ばれるピッチャーが、この夏引退しました。家族に支えられた野球人生を追いました。

(三女 希心さん 7月13日)

「パパ~、がんばれ~」

愛知県豊田市のマウンドで、自慢のお父さんが投げています。佐竹功年(さたけ かつとし)投手40歳。トヨタ自動車野球部の大ベテランです。この日もしっかり相手打線を抑えました。でも、娘の希心(きこ)さん6歳は、ちょっとご機嫌ななめです。

(希心さん)

「パパやめるの悲しい」

お父さんはこの夏、社会人野球を引退します。

■昨年末、チームから引退を言い渡され…

佐竹投手が所属するトヨタは都市対抗野球2回、日本選手権6回優勝を誇る社会人野球の超名門。

40歳になった今もその実力は衰えず、去年のアジア大会では侍ジャパンのメンバーとして銅メダルに貢献。

しかし昨年末、チームから引退を言い渡されました。それはこの人の耳にも。

■豊田章男会長「戦力外通告されたんだって?」

(トヨタ自動車 豊田章男会長 「トヨタイムズ」)

「豊田です」

(トヨタ自動車 佐竹功年投手)

「お久しぶりです。ビックリした…」

(豊田会長)

「戦力外通告されたんだって?ちゃんと相談相手いるの?」

(佐竹投手)

「いや会長がいます。大丈夫です」

(豊田会長)

「そうだね」

野球選手であると同時に会社員。覚悟は決めていました。

(佐竹投手)

「ぼくは社会人野球、サラリーマンなんで。結局(引退は)人事異動と一緒」

■最後の舞台は「都市対抗野球大会」

最後の舞台は、社会人野球の最高峰「都市対抗野球大会」です。

7月19日、東京ドーム。負けたら終わりの大会です。

妻の里美さん(43)、長女の笑好(えこ)さん15歳、次女の肖心(にこ)さん13歳、そして三女の希心さんが応援に駆け付けました。

(希心さん)

「パパーパパーパパー!」

お父さんの勇姿を見られるのもこれが最後…。9回表、絶体絶命の場面で出番が回ってきました。同点、ツーアウト満塁。相手の放った鋭い打球は…ファール。

冷静だった佐竹投手、このバッターを打ち取ると。

チームはその裏、劇的なサヨナラ勝ちを収めました。

(トヨタ自動車 1×ー0 沖縄電力)

■「最後は感謝の気持ちしかなかった」

しかし、7月25日に行われた2回戦は、トヨタの投手陣が踏ん張れず、佐竹投手は出番がないまま、19年の社会人野球生活に幕を下ろしました。

(トヨタ自動車 2ー9 三菱重工West)

(佐竹投手)

「良い経験も 楽しい経験も 悔しい経験もたくさんさせてもらって。最後は感謝の気持ちしかなかった」

翌日、頑張ったお父さんの胸には家族からの金メダルが。

(三女希心さん)

「おめでとー!」

「引退は人事異動」。これからも家族のために一生懸命働くつもりです。