東京女子医大の第三者委、理事長の責任を指摘 報告書を公表

AI要約

東京女子医科大学(東京都新宿区)や同窓会組織をめぐる不透明な資金の流れに関する問題で、第三者委員会が調査報告書を公表した。

報告書によると、同大では学内人事や推薦入試において同窓会への寄付金額が考慮されており、岩本絹子理事長の一強体制が問題の背景にあると指摘された。

さらに入試での寄付金の加点要素や、職員の寄付による評価要素についても問題が指摘されている。

東京女子医大の第三者委、理事長の責任を指摘 報告書を公表

 東京女子医科大学(東京都新宿区)や同窓会組織をめぐって不透明な資金の流れが指摘されている問題で、同大が設置した第三者委員会(委員長=山上秀明弁護士)が2日、調査報告書の概要を同大の公式サイトで公表し、記者会見を開いた。学内人事や推薦入試で同窓会への寄付金額を考慮する仕組みがあったことも明らかになっており、調査委は、一連の問題の背景に岩本絹子理事長(77)の「一強体制」があったとして、岩本氏と理事会の経営責任を厳しく指摘した。

■推薦入試で寄付金考慮 面接前に300万円寄付のケースも

 同大をめぐっては、同窓会組織「至誠会」の元職員が元事務長と共謀し、勤務実態がないのに約2千万円の給与を至誠会から受け取ったとする特別背任容疑で、警視庁が3月、理事長室や岩本氏の自宅など十数カ所を家宅捜索した。

 この問題について第三者委の報告書は、2人の元職員が、大学側の業務委託を受けた会社の雇用という形になった後に、同社と至誠会の両方から給与が出ていた点を「二重払い」と指摘。また業務委託について理事会運営会議の承認を得ていないなどの手続き違反もあったと認定した。

 医学部の推薦入試をめぐっては、至誠会が持つ枠(約10人)で大学側に推薦する生徒を決める際に、寄付額が加点要素となっていた。報告書では、入試での寄付金の受け取りを禁じた文部科学省の通知に反する可能性があるとし、違反しなくても「受験生の親族に対し、心理的・経済的負担を負わせるもので妥当なものとはいいがたい」と指摘した。

 さらに、2019年度入試では、1回目の面接の後、2回目の面接前に至誠会に10万円、大学を運営する学校法人に300万円を寄付した受験生の親族がいたことも明らかにした。

 寄付金をめぐっては、職員の採用・昇格などでも評価要素とされていたことが判明している。報告書はこの点について「事実上寄付を強いる制度になっていた」「金銭と人事評価を関連させていたことは明らか」とした。