パリ五輪のトライアスロンはスイムなしで開催?匿名掲示板のスレッド名が拡散【ファクトチェック】

AI要約

2024年パリオリンピックのトライアスロン競技はセーヌ川で行われ、水質悪化の問題に関連して延期されたが、女子競技は予定通り行われた。

拡散された「水泳無しで開催」の情報は誤りであり、実際にはセーヌ川でのスイムからスタートしている。

AFP通信やロイター通信などのメディアが競技の様子を報道し、オリンピック公式サイトでも詳細な記録が確認できる。

パリ五輪のトライアスロンはスイムなしで開催?匿名掲示板のスレッド名が拡散【ファクトチェック】

2024年パリオリンピックで競技会場となっているセーヌ川の水質悪化問題に関連して、「パリオリンピックのトライアスロンが水泳無しで開催することを決定」との言説が拡散しましたが、誤りです。トライアスロン競技は男女ともに7月31日(現地時間)に開催され、選手たちは予定通りセーヌ川で泳ぎました。

2024年7月31日、「【速報】パリオリンピックのトライアスロン、水泳無しで開催することを決定」との投稿がX(旧Twitter)で拡散した。2024年8月1日現在、69万回以上の閲覧回数と2100件以上のリポストを獲得している。

言説を投稿したアカウントは「ツイッター速報~BreakingNews」で、「水泳無し!?それトライアスロンじゃないじゃん」「あまりにもお粗末すぎる。サーフィンみたいに別のところでやればよかったのに!」などのコメントがある一方で、「スイム、スタートしましたよ?」と指摘する声もある。

懸念されていた水質の悪化

セーヌ川は長年水質の悪化が懸念されていたが、浄水対策が進められ、トライアスロンと水泳の「オープンウォータースイミング」の会場となっていた。

しかし、五輪の開会式以降の雨によって、7月30日のトライアスロンの男子競技は水質基準が満たされず、延期となった。翌31日は水質が改善して女子の競技からスタートした(NHK)。

トライアスロンはスイムからスタート

オリンピックのトライアスロンは、スイム1.5キロ、バイク40キロ、ラン10キロの計51.5キロの競技だ。

拡散した言説のリンク先は「Tweeter Breaking News―ツイッ速!」というサイトで、「セーヌ川水質悪化 トライアスロン延期」などとテロップが入ったテレビのニュース番組のスクリーンショットと、掲示板「5ちゃんねる」のスレッド「【速報】パリオリンピックのトライアスロン、水泳無しで開催することを決定」へのリンクが記載されている。

「ツイッター速報」はニュースメディアではなく、5ちゃんねるのスレッドなどを転載するまとめサイトだ。日本ファクトチェックセンター(JFC)は過去にも「ツイッター速報」から拡散した言説を検証している。

メディアが競技を報道

JFCはトライアスロン競技をネット配信で確認した。パリオリンピックのライブ配信をしているサービス「Tver」には、女子トライアスロンのハイライト動画がアップロードされている。

セーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋に設けられたスタート台から選手が一斉に川へ飛び込む様子が映っている。

また、AFP通信やロイター通信も競技の様子を報じている。

AFP通信によると、水質悪化のために7月28、29日のセーヌ川での公式練習が中止になった上、30日の男子のトライアスロンが延期されたという。大会組織委員会とワールドトライアスロン(World Triathlon)は、31日午前4時(現地時間)に「最新の水質分析結果」を受け、女子の予定通りの実施と延期されていた男子の実施を発表した。

オリンピック公式サイトでは、トライアスロン男子・女子の各選手のスイム1500メートルの記録が確認できる。

「パリオリンピックのトライアスロンが水泳無しで開催することを決定」は誤り。スイム会場であるセーヌ川の水質悪化の影響でトライアスロン男子は1日延期されたものの、7月31日に女子とともにセーヌ川で開催された。

検証:リサーチチーム

編集:宮本聖二、野上英文、藤森かもめ

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。