ニュージーランドの児童福祉を報告 資生堂財団海外研修

AI要約

公益財団法人資生堂子ども財団は、2023年度の海外研修に関する報告会を開催しました。児童福祉業界の人材育成を目的に、NZを訪問した児童養護施設の職員らが報告しました。

NZでは子ども省やアドボカシー機関が力を入れており、アドボカシーの権限を持つことが印象的でした。日本でもアドボカシー機関の評価や支援の標準化が必要と訴えられました。

報告会では、アドボカシー機関の運用についての議論も行われ、NZの取り組みが今後の参考になると述べられました。

ニュージーランドの児童福祉を報告 資生堂財団海外研修

 公益財団法人資生堂子ども財団(塩島義浩理事長)は6月24日、2023年度の海外研修に関する報告会を開き、こども家庭庁職員らが出席した=写真。

 同財団は約50年前から児童福祉業界の人材育成を目的に、施設の中堅職員を対象にした海外研修を実施している。23年度は11月6日から5日間、児童養護施設の職員ら10人がニュージーランド(NZ)の行政や民間機関などを視察した。

 人口516万人のNZは17年、複数の機関を統合する形で子ども省を設立している。児童福祉の政策立案だけでなく、日本の児童相談所のような実務機能も持っているのが特徴だ。

 また、子ども省や独立行政機関、NGOなどさまざまなアドボカシー機関があり、こどもの意見表明支援に力を入れている。

 報告会には、熊本の児童心理治療施設「こども L.E.C.センター」に勤務していた西村岳人さんと、児童養護施設「希望の家」で働く鈴木美希さんが登壇した。

 2人はNZの植民地の歴史なども紹介した上で、アドボカシー機関へのチェック機能があったのが印象的だったと報告。同庁に対し、今後、日本でもアドボカシー機関への評価や支援の標準化などが必要ではないかと訴えた。

 団長を務めた河尻恵国立武蔵野学院長(当時)は「日本でも法改正でアドボカシーが位置付けられたが、運用はこれから。NZのように施設を調査するための権限をアドボカシー機関が持つことは今後の参考になる」と話した。