小学5年生がたった1カ月で「完璧なRの発音」を習得した秘密

AI要約

子どもたちがフィリピンのキッズキャンプで英語を学ぶ様子について紹介。

フィリピン人の先生はどのように日本人の子どもに英語を教えるのか、具体的な授業内容を解説。

幼児向けクラスでは、楽しく英語に親しむ環境と工夫された教材が使用されている。

小学5年生がたった1カ月で「完璧なRの発音」を習得した秘密

前々回、前回の記事では、今年の夏休みにお子さんが単独でフィリピンへ英語留学に行くことがかなうのか、行く場合予算はどれくらい必要かについて書いた。結論として、15歳以上ならいつでも可能(ただし、生活面での不安を取り除くことが必要)、15歳未満は、複雑な書類が必要なため、事実上、長期のキッズキャンプやジュニアキャンプに参加するのが賢い手段であること、あるいは親子一緒に渡航・滞在する親子留学も人気であることをお伝えした。今回は、実際にこうしたキッズ・ジュニアキャンプで、子どもたちがどのように英語を学ぶのかを紹介する。実際に筆者がフィリピンに行き、4~6歳対象のキッズキャンプのレッスンを受けてきた。(大人の英語学習法リサーチャー 高野美穂)● フィリピン人の先生は、 どうやって日本人の子どもに英語を教える?

 「フィリピンに英語を学びに行く」「マンツーマンレッスンやグループレッスンを受ける」といっても、実際に現地でどんなレッスンを受けられるのか、想像できる読者の方は少ないのではないだろうか。日本語が話せるわけではないフィリピン人の先生たちは、どうやって日本人に英語を教えるのか。

 特に、まだ英語を学んでいない子どもたちが、どんな風に英語に触れるのか、本当に話せるようになるのか、気になるのではないだろうか?日本人だけが対象ではないので、レッスンの指示にもテキストにも当然日本語はない。そうした場合、子ども向けの授業がどのように進むのか、個人的にも非常に興味があった。

 この疑問を、キッズキャンプを提供するQQイングリッシュの講師に直接ぶつけてみたところ、「ぜひ、子どもとして授業を受けてみてほしい」とのこと。そこで、キャンプが始まる前に行われた模擬レッスンに参加し、全力で6歳児になりきってみた。

● “I see a red bird looking at me.” 幼児向けクラスの教材、侮るなかれ

 これは、オンライン英会話ですでに膨大な数のキッズ向けレッスンを行っているQQイングリッシュが、今年の夏のキッズキャンプのために準備しているグループレッスンの教材だ。

 4~6歳のクラスで使うテキストの1ページ。絵本、歌ともリンクをしている。さまざまな色をした動物が次々に出てきて、自然に色の名前と動物の名前を覚えられる仕組みになっている。クイズ形式での問いかけもあるので、グループで行うことで、ちょっとした競争心も生まれて盛り上がるだろう。

 その上で、画面の短いセンテンスを見てほしい。“I see a red bird looking at me.”文法的に分解するとちょっと複雑で、日本人が意外とスラスラは出てこない文章だ。学校の授業で「分詞」や「知覚動詞」といった言葉を知ってしまう前に、子どもたちはネイティブの(ここではあえて、フィリピン人をネイティブと呼ぶ)発音とリズムでこの文を聞き、素直に真似をする。

 また、このセンテンスには日本人が大の苦手とするRの発音があるのだが、子どもはそんなことは知らない。そのまま聞いたとおりに真似することで、大人が聞きほれるようなRの発音をする。真似しやすいよう、先生たちは少し声の質を子どもに合わせて高い音でゆっくり話すなどの工夫をしていると話してくれた。

 4~6歳児対象のこのレッスン。6歳児になりきるのは相当に無理があったが、大人の頭のままで参加しても、びっくりするほど楽しかった。色や動物といった出てくる英単語は知っていても、文章のリズムや子どもだからこその自然な言い回しなど、改めて学ぶことがある。各国の子どもたちの扱いに慣れ、場を盛り上げることに長けた講師と共にプログラムを進めていく体験は一体感があった。

 すこし深掘りをしてレッスンの方針について聞くと、英語「を」学ぶ段階にないキッズに対しては、音楽やお絵描きなどを上手に取り入れて、他の何かに熱中する中で英語に触れる機会を設けているという。