インドつなぎ止めへ協力深化 日米豪印の8回目の「クアッド」外相会合

AI要約

クアッドは日本、米国、オーストラリア、インドの協力枠組みであり、中国の覇権主義的な動きに対抗する重要性が高まっている。

クアッドは南シナ海の問題について中国をけん制し、インドとの共同作業を強化している。

インドはロシアとの友好関係が深いが、クアッドに参加することで異なる立場の国々と連携を強化している。

インドつなぎ止めへ協力深化 日米豪印の8回目の「クアッド」外相会合

日本、米国、オーストラリア、インドの協力枠組み「クアッド」は2019年以来、5回の首脳会合、8回の外相会合を重ねてきた。4カ国のうちインドはウクライナ侵略を続けるロシアと良好な関係を築く。中国が覇権主義的な動きを強める中、国際秩序の維持・強化を目指す日本にとって、インドを巻き込むクアッドの重要性は増している。

「国際社会の共存共栄のために日米豪印が今後とも協力し続けていく決意の証しに他ならない」

上川陽子外相は29日、外相会合後の共同記者発表でこう強調した。

■名指し避けつつ中国をけんせい

共同声明は「南シナ海における威圧的かつ脅迫的な操船に対する重大な懸念を表明し続ける」と明記し、名指しは避けつつも中国を牽制(けんせい)した。昨年9月の米ニューヨークでの会合の声明は「南シナ海、東シナ海における挑戦に対抗する」としていただけに、南シナ海を巡る中国とフィリピンの対立激化も踏まえ、表現を強めた形だ。

4カ国は自由や民主主義など基本的価値を共有するとはいえ、インドは〝異質〟の存在だ。中露や非欧米諸国でつくる「BRICS」の一員で、旧ソ連時代からロシアと友好関係を保つ。インドのモディ首相は今月9日、モスクワでロシアのプーチン大統領と会談し、両国の経済協力を進めることで一致した。

ただ、ロシアは中国に加え、北朝鮮とも軍事協力を強化している。

■「立場違うインド」との会合に意義

外務省幹部は「明らかに立場が違うインドと一緒にやることに意味がある」と語る。クアッドには、ともすればロシアとの伝統的な友好関係に引きずられがちなインドを、日米豪の側に引き寄せる側面がある。

インドのジャイシャンカル外相は会合で「クアッドは継続し、成長のために活動を続ける」と述べた。気候変動や宇宙、サイバーなど幅広い分野で協力に向けた作業部会が開かれており、日本政府関係者は「インドが4カ国で一緒に仕事をする癖をつけることが大事だ」と指摘する。(原川貴郎、小沢慶太)