「聖火のトーチ」絶対火が消えない秘密は“網目状のプラチナ” 心臓部は愛知で作っていた!「ある日届いた1通のメール」

AI要約

パリオリンピック™のトーチの心臓部は、“メイドイン愛知”の新富士バーナーが開発した燃焼部とボンベで、高い性能やデザインが注目されている。

新富士バーナーは、前回の東京オリンピックのトーチでも燃焼部を手掛けており、高い技術力が評価された。

トーチの燃焼部はプラチナの網目が特徴で、雨や風にも強く、聖火を絶対に消さない工夫が凝られている。

「聖火のトーチ」絶対火が消えない秘密は“網目状のプラチナ”  心臓部は愛知で作っていた!「ある日届いた1通のメール」

聖火をつなぐランナーが手にする、パリオリンピック™のトーチの心臓部は、実は、“メイドイン愛知”です。

なぜ手掛けることになったのか?

26日に開発した豊川市のメーカーを訪ねました。

■燃焼部とボンベの開発に携わる

(新富士バーナー開発部 山本潤係長)

「こちらがパリの聖火リレーのトーチです」

長さ約70センチ。重さは約1.5キロ。オリンピックの聖火リレーに欠かせないトーチです。

灯された聖火は5月にフランスに到着して以降、モン・サン・ミシェルやカンヌなど有名観光地を巡つて、7月23日にはベルサイユ宮殿に到着。いよいよ開会式の行われるパリで、聖火台にともされる瞬間が近づいてきました。

(大野和之記者)

「すごい。意外とズッシリ重みがある感じです」

今回のトーチのデザインは、上半分がエッフェル塔で、下半分がセーヌ川をイメージしたものです。そして、燃焼部とボンベを開発したのが豊川市に本社がある新富士バーナーです。

■ある日突然1通のメールが…

主力商品は、キャンプ用のコンロやランタンなど。では、なぜパリオリンピックのトーチの製造に関わることになったのでしょうか?

(新富士バーナー開発部 山本潤係長)

「2022年8月にパリの組織委員会から1通のメールが届いて、受け取った当人は、まさかそんなメールが来るとは思っていなかったので大変驚いた」

前回の東京オリンピックのトーチでも燃焼部を担当した、新富士バーナーの技術が高く評価されたのです。

(新富士バーナー開発部 山本潤係長)

「すごく光栄なこと」

■絶対聖火を消さないための工夫

鍵となるのはその素材です。

(新富士バーナー開発部 山本潤係長)

「筒の中にメッシュの金属は入っている。これがプラチナ。メッシュの表面で見えない火が継続して燃え続ける。それが消えない秘密」

秘密は網目状のプラチナです。プラチナは触媒反応で燃焼が続くため、雨で濡れても水だけ蒸発し、火は消えません。

扇風機の風で実験してみました。通常のバーナーは火が消えますが、トーチの火は消えないのです。性能実験では1時間に約50ミリの激しい雨が降っても、風速約17メートルの風が吹いても大丈夫だったといいます。

そして、こんなこだわりも。

(新富士バーナー開発部 山本潤係長)

「筐体(きょうたい・機械を収めた箱)の後ろにスロット(切れ込み)がある。ここから炎が、旗がたなびくような形で出てほしい」

燃焼部の横には切れ込みがあり、走ったときにここから見える聖火は国旗をイメージできるということです。

■「ワクワク感が増してきた」

迫ってきた開会式について26日。

(新富士バーナー開発部 山本潤係長)

「近づくにつれて日に日にワクワク感が増してきた。それがまさに今晩となって、より強くなっている」

“メイドイン愛知”の技術が支えるトーチ。史上初の屋外での開会式で、聖火台に灯される瞬間にも注目です。