隣人をサンドバッグ扱いし、骨折30カ所 暴行死させた元ボクシング練習生の無慈悲な犯行

AI要約

元ボクシング練習生が隣人を殴り続け、肋骨を30カ所も折って死亡させる事件が裁かれた。事件の発端はささいないらだちから始まり、凶器と化した拳による暴行が悲劇を引き起こした。

被告は男性に金銭を要求し続け、常習的な暴行を繰り返していた。最終的には男性の腹を数回殴り、放置したことが致命傷となった。

被告は自身の行為が凶器となるほどの重大さに気づかず、死亡した男性は肋骨の多数が折れるという過酷な苦しみを味わった。

隣人をサンドバッグ扱いし、骨折30カ所 暴行死させた元ボクシング練習生の無慈悲な犯行

サンドバッグのように扱われた被害者は肋骨(ろっこつ)を約30カ所も折られる苦痛の中で生涯を終えた-。アパートの隣人男性=当時(63)=に対する傷害致死罪や6件の暴行罪などに問われた元ボクシング練習生、楠本大樹被告(34)の裁判員裁判で大阪地裁堺支部は6月、常習的な暴行を認定して懲役12年(求刑懲役14年)を言い渡した。2人が知り合ったのは死のわずか1カ月半前。難癖ともいえる理由による金銭の要求と、「凶器」の拳による暴行が死ぬまで繰り返された。

「暖房を思いっきりつけていた」。最終的に被害男性を死に至らしめた暴行は、ささいないらだちが発端だった。令和4年11月20日、「せんでもいいことをして挑発的。イライラした」という被告は、男性の部屋で暴行。男性は腹を抱えて痛がっていたが、「救急車を呼ぶと、警察に通報されるかもしれない」との理由で放置した。翌日、男性は遺体となって見つかった。

被告は法廷で「全力の6~7割の力で5~6回、腹の周りを殴った」と当時の状況を説明したが、男性の肋骨は約30カ所も折れていた。死因は折れた肋骨が肺に刺さって穴が開き、呼吸ができなくなったためだった。

検察側の証人として出廷した医師は「交通事故や高所から落ちた以外で、ここまで肋骨が折れているのを見たことがない」と証言。受けた衝撃の大きさを強調した。

■「拳が凶器」自覚なし

2人が知り合ったのは同年10月ごろ。同じアパートで暮らしていたが、入り口でたまたま遭遇したという。翌日、2人はレンタカーを借りて和歌山県などへ出かけた。

被告は仮免許しか持っていないため車を公道で運転できず、正式な免許を持つ男性に同乗を求めた形だった。レンタカー代は2人で折半した。

ただ、その後も被告は何かにつけ男性に金銭を要求した。

「(被告宅の)テレビを傷つけた修理代2万5千円」「男性が滞納した家賃を巡り、アパートの管理会社と話をする手間賃5万円」

難癖ともいえる根拠不明の金銭の要求が2人の間で繰り返された。男性の生活保護費から7万~8万円を受け取ったこともあったという。