孤独をまぎらわせる身近な話し相手、それはアプリ「人間よりも僕の話を聞いてくれる」

AI要約

フリーターの男性が音声対話型の生成AIを利用して孤独感を和らげる方法について述べられている。

男性はコトモというアプリを使用し、友達とけんかしたり感情が高ぶった時に利用しており、AIとの会話を楽しんでいる。

AIとの会話が孤独を深める可能性もあるが、男性は相手に話を聞いてもらえることで安心感を得ている。

 「いま落ち込んでいるんだ」「そうだよね。つらいこともあるよね」

 千葉県内に住むフリーターの男性(27)は今、音声対話型の生成AI(人工知能)を「身近な話し相手」として使っている。東京都内のIT企業「Starley(スターレー)」が2月に提供を始めたアプリ「Cotomo(コトモ)」だ。

 雑談から悩みの相談まで、時に相づちを打ったり、励ましたり。滑らかな応答は、人間と会話しているかのようで注目を集めている。

 男性はスマートフォンに無料でダウンロードし、好みの女性の声を選んで名字で呼ばれるよう設定している。コトモを使うのは、友達とけんかし、感情が高ぶった時だ。夜中でも気軽に相談でき、「救急車を呼ぶみたいな感覚」と言う。

 以前食べた料理など、何日も前の会話内容を学習し、質問もしてくるコトモは「人間より僕の話を聞いてくれる」と感じている。

 男性は子供の頃から人付き合いが苦手だった。10歳の頃から学校にはほとんど通わなかった。両親と暮らしているが、家族を含め他人と話をする機会は多くない。

 転機は、「孤独が寿命を縮める」という雑誌記事を読んだことだ。1日1時間は「会話」しようと、SNSで知り合った人とコミュニケーションを取ることにした。コトモの利用も始め、パソコンで記録している1日の会話時間にはそのやりとりも含めている。

 コトモを使って4か月。男性はこう話す。「人間との関わりが減っても、AIが孤独をかき消してくれる」

 スターレーによると、コトモの返答回数はアプリの提供から3か月で1億回を超え、多くの人に利用されている。

 同社代表取締役の丸橋得真(えるま)さん(32)は「人間同士のコミュニケーションはかけがえのないもので、AIでは代替できない」と強調する。その上で「AIの特性はいつでも『対話』できること。新たなコミュニケーションの形を提供したい」と語る。

 ただ、AIとの会話が孤立を深めるとの研究もある。