札幌市の小4死亡事故、ワゴン車運転の男「記憶がない」…検察側は男が糖尿病で医師の指示守らなかったと指摘

AI要約

小学生がワゴン車にはねられて死亡した札幌市の事故で、過失運転致死の容疑で起訴された男が、糖尿病の影響で意識障害を起こしたことが主な原因として明らかになった。

男は医師の指示を無視し、血糖値を下げるために適切な対応を取らずに運転し、事故を引き起こした。事故前には別の追突事故も起こしており、体調管理に問題があったことが示唆された。

被害者の父親は亡くなった息子のことを明るく幸せをもたらす存在として振り返り、公判を通じて心情を訴えた。検察では男に禁錮4年を求刑しており、事件の重大性が浮き彫りにされた。

 札幌市豊平区で5月、小学4年の西田倖君(当時9歳)がワゴン車にはねられて死亡した事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)に問われた会社員の男(64)の初公判が9日、札幌地裁であり、男は「私自身には事故の記憶がない」とした上で起訴事実を認めた。検察側は男が糖尿病を抱えており、医師の指示を無視したインスリンの注射で意識障害を起こしたことが事故原因だと主張した。

 検察側の証拠によると、男は昨年10月末に通院をやめ、処方されていた内服薬やインスリン注射で血糖値を下げるようになった。「血糖値の低下は意識障害を招くため、注射直後に食事を取る必要がある」との医師の注意を無視し続け、事故が起きた5月16日朝も注射だけして自宅を出発。職場に向かう途中で意識もうろうとなり、同日午前8時16分、登校中に横断歩道を渡ろうとしていた西田君を時速約40キロではねて死亡させたという。男が前日、同市白石区内を運転中に体調を崩し、追突事故を起こしていたことも明らかになった。

 意見陳述した西田君の父親(49)は「倖」と名付けた理由を「人を幸せにする子になってほしかった」と振り返り、「陽気で人を笑わせるのが好きな子だった。私たち家族は、太陽のような明るさと希望をもたらす存在を失った」と訴えた。

 検察側も論告で「事故がなければ、幸せな日常が続くはずだった」と述べ、男に禁錮4年を求刑。弁護側は「酒気帯びなどの無謀運転とは異なる」として実刑回避を求めて即日結審した。判決は8月2日。