自民、都議補選で大敗 逆風とまらず次期衆院選に危機感 都知事選勝利も若年層支持に不安

AI要約

自民党は逆風に焦りを感じており、都議補選での大敗を受け、岸田首相の退陣要求も出ている。

都議補選は重要な指標で、自民が総力戦を展開していたが、低い目標を下回る結果に終わった。

不記載事件の影響が大きく、若者の支持離れも懸念されている状況で、党内からリーダーシップの変更が求められている。

自民、都議補選で大敗 逆風とまらず次期衆院選に危機感 都知事選勝利も若年層支持に不安

自民党が逆風の強さに焦りの色を濃くしている。7日投開票の東京都知事選では水面下で支援した現職の小池百合子氏が3選を果たしたが、総力戦で挑んだ同日の都議補欠選挙で大敗を喫した。派閥パーティー収入不記載事件が尾を引いていることを如実に示しており、党内から岸田文雄首相(自民総裁)の退場を求める声も上がった。

■4勝目指し総力戦を展開

自民の小渕優子選対委員長は8日、「2勝6敗」に終わった都議補選について「真摯(しんし)に受け止め、改めて襟を正し、党の信頼回復と政治改革に全力で取り組む」との談話を発表した。

都議補選は都内の次期衆院選の区割りとほぼ重なるため、各党の党勢を占う先行指標となる。自民は茂木敏充幹事長や石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安全保障担当相ら知名度の高い「ポスト岸田」候補が続々と応援に入り、総力戦を展開した。

自民は欠員が生じる前は全9選挙区のうち、5議席を占めていた。不記載事件に関与した国会議員の地元が含まれていることなどから、「4つ取れれば御の字」(都連幹部)との見方が広がっていた。

■不記載事件「重視」7割

ところが、結果は低めの目標をさらに下回る2議席。不記載事件で処分を受けた萩生田光一前政調会長の地元、八王子市選挙区などを落とした。

「想定外の完敗だ。候補者ではなく国会議員の責任であり、国政の逆風が反映されている」。都選出の自民のベテラン衆院議員はこう指摘し、次期衆院選でも苦戦は避けられないと頭を抱えた。

有権者は不記載事件を忘れていない。都知事選の当日に共同通信社が行った出口調査では、投票の際に不記載事件をどの程度重視したかという問いに対し「大いに重視した」と「ある程度重視した」が計70%に達した。

若者の支持離れも懸念材料だ。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が6月に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は若年層で24・7%にとどまった。政権発足直後(令和3年10月調査)の76・5%から激減している。

一方、共同の都知事選出口調査によると、18~29歳の41%が2位に躍進した前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏に投票。小池氏や蓮舫氏を上回っており、若い無党派層の受け皿となったようだ。

党勢回復がままならない中、党首にレッドカードを突き付ける動きも表面化した。大西英男衆院議員(東京16区)は8日、山口県長門市内で記者団に「首相は謙虚に国民の声に耳を傾けて辞任し、(9月の総裁選で)新しい総裁を選ばなければならない」と強調した。(永井大輔)