お尻に火がついた朝日新聞社の台所事情…名門国立大素粒子物理学出身記者がたった一人で生み出した「人気YouTube」

AI要約

2024年4月、朝日新聞の公式YouTubeチャンネルAsahi Astro Liveが10万人のチャンネル登録者数を突破し、朝日新聞宇宙部の活動が注目されている。

管理人である名古屋大学出身の名物記者・東山正宜氏が一人でチャンネルを立ち上げ、24時間星空の生配信や天体ショーで数十万人の視聴者を集めている。

朝日新聞宇宙部の立ち上げは、新聞業界の変化や組織内の動きによるものであり、朝日新聞の新たな取り組みとして位置づけられている。

お尻に火がついた朝日新聞社の台所事情…名門国立大素粒子物理学出身記者がたった一人で生み出した「人気YouTube」

「宇宙部の活動は朝日新聞にとって久しぶりに明るい話題ですからね」(朝日社員)

毎年のように発行部数の減少が伝えられる新聞界で、全国紙各社が新しい事業を模索している。2024年4月、朝日新聞の公式YouTubeチャンネルAsahi Astro Live(朝日新聞宇宙部)がチャンネル登録者数10万人を突破した。

このチャンネルをたった一人で立ち上げ、運営する「管理人」が、名古屋大学理学部素粒子物理学科修士課程修了の名物記者・東山正宜氏である。Asahi Astro Liveではハワイ・マウナケア山頂と、岐阜県・木曽の天文台に設置された星空カメラの映像を24時間ナマ配信し、日蝕や流星群などの「天体ショー」では数十万人の視聴者を集める。いったい、「朝日新聞宇宙部」とはどんな組織なのか。朝日になぜ、どうやってそんな組織が生まれたのか。星空撮影に懸けるサラリーマン記者の情熱――。

『朝日新聞宇宙部』連載第5回

第4回記事『「あんたがメールを見落としてたんでしょ」…朝日新聞の人気YouTube「朝日新聞宇宙部」が「ハワイの星空」を伝えられるようになるまでに起こった「予想外のバトル」』より続く。

中島さんが闘っている間、私も東京で交渉に追われていた。

木曽観測所からの星空ライブなどはこれまで、朝日新聞の公式YouTubeチャンネルで配信していたが、天文専用のチャンネルを独立させよう、つまり朝日新聞宇宙部を立ち上げようと画策していたのだ。

朝日新聞の公式YouTubeチャンネルは、あまりくだけたコンテンツは配信できないし、大きな流れ星が飛んだときなどに切り出し動画をすぐアップしようとしても、手続きをいろいろ踏まないといけなかったりしてなにかと動きづらい。

できることなら、私が管理人となって、これは!

と思うコンテンツを、独自の編集で、即座に、おもしろおかしく配信できるチャンネルを立ち上げたい。

もう一つは、いよいよお尻に火がついた朝日新聞社の台所事情が関係していた。

新聞の販売部数だけでなく、このころには収益もますますひどいことになっていた。

だいたいこういうときにはえらい人たちが各部署に何とかうまいアイデアを出せと号令するもので、その案に基づいてPDCAサイクル(Plan: 計画、Do: 実行、Check: 評価、Action: 改善)の仮説・検証型プロセスを回し、マネジメントの品質を高めようなどと言いがちである。

具体的には政治部や経済部、科学医療部などにそれぞれ、デジタルで何か始めることが求められた。