避難先から半年ぶりに能登に戻った8羽のペンギン、よちよち歩いてプールへ…「みんな元気そうでよかった」

AI要約

能登半島地震で被災し、休館が続いていた石川県七尾市の「のとじま臨海公園水族館」に避難していたマゼランペンギンが約半年ぶりに戻ってきた。

水族館は被災後、水温や水質が維持できず多くの生き物が死んでしまったが、修理が進み営業再開の準備中。

他の海洋生物も順次戻ってくる見通しで、ペンギンたちは20日から展示される予定。

 能登半島地震で被災し、休館が続いている石川県七尾市の「のとじま臨海公園水族館」に4日、避難していたマゼランペンギンが約半年ぶりに戻ってきた。県内外の避難先から帰ってくるのは初めて。今後も続々と戻ってくる見通しで、水族館は「夏休みの子どもたちに見に来てほしい」と、20日から一部施設で営業を再開する。(秋野誠、高野珠生)

 「おかえり、みんな元気そうでよかった」。4日午後3時過ぎ、避難先の「いしかわ動物園」(能美市)から水族館に到着した8羽のマゼランペンギンを、飼育員らがほっとした表情で出迎えた。8羽はよちよちと歩いてプールに飛び込み、エサのアジも元気に食べたという。

 7年間ペンギンの飼育を担当している竹山裕子さん(43)は「ヒナだった子が立派な姿に成長していて驚いた」と半年間を振り返り、20日の営業再開に向けて「のびのびと泳ぐペンギンたちに会いに来てほしい」と呼びかけた。

 七尾湾の能登島にある水族館は元日の地震による断水でボイラーが動かせず、配管なども損傷した。水温や水質を維持できなくなり、熱帯魚やクラゲなど温暖な海域に生息する生き物はほぼ全滅。1月上旬にはジンベエザメ2匹も息絶え、約90種、約3400匹が死んでしまった。

 ペンギンの飼育・展示施設も海水を取り込めなくなり、マゼランペンギン26羽は県内と新潟県、東京都へ避難。天井が崩れた本館の修理が落ち着いた6月頃から、職員らがペンギン施設の修理を始め、壁を塗装し直し、施設を囲む網を張り替えた。

 水族館の再開を前に、県内外の動物園など9か所に避難している海の生き物は、続々と戻ってくる見通しだ。5日には「富山市ファミリーパーク」からフンボルトペンギンが、11日には新潟県の「上越市立水族博物館うみがたり」からマゼランペンギンが帰ってくる予定となっている。

 イルカやアシカは夏場の移送が難しく、飼育設備の修復も完了していないため、展示やショーの再開は秋以降となるとみられる。ジンベエザメも確保でき次第、展示を再開するという。水族館展示・海洋動物課長の加藤雅文さん(53)は「一つひとつ作業を積み重ね、早くお客さんに楽しんでもらえるようにしたい」と話した。