災害ごみ総量244万トン、さらに増加も…能登復興に影 隆起で使用できぬ港なお多数

AI要約

能登半島地震から半年が経過し、被災地では復興が進む一方で課題も残っている。

災害ごみの処理完了には約2年3カ月の見通しが立ち、漁港の復旧はさらなる工事が必要とされている。

過去の災害からの教訓を生かし、地域の特異要因に応じた迅速な対応が求められている。

災害ごみ総量244万トン、さらに増加も…能登復興に影 隆起で使用できぬ港なお多数

能登半島地震は7月1日で発生から半年。被災地は着実に復興に向かっているが、山積みになった災害ごみの処理や被害が大きかった道路、隆起や津波によって再開のめどが立たない漁港など、復旧の見通しが不透明な課題は多い。地震の規模や人口などに違いがあるため、これまでの大規模災害と単純比較はできないものの、およそ5カ月を要した断水復旧が象徴するように、地域的な特異要因によって遅れが生じる懸念が広がっている。災害大国として多くの犠牲の上で得た教訓や知見を生かした迅速な対応が求められている。

■処理完了のめどは2年3カ月

能登半島地震で、主に全半壊した家屋を解体した際に排出される災害ごみの総量推計は244万トンとされている。これは平成28年4月に起きた熊本地震の311万トンに近い。

石川県が2月末に策定した災害ごみの処理実行計画によると、完了のめどは約2年3カ月としており、熊本地震の約2年とほぼ変わらない。

一方、7年の阪神大震災は約1500万トン、23年の東日本大震災は3100万トン(福島県内を除く)で、一概に比較はできない。

だが、災害ごみの総量が能登半島地震の6~10倍以上にもかかわらず、約3年で処理を終えている。これは国の関与や民間の協力、地理的条件などが、処理期間の長短に影響することを表している。

また、熊本地震では処理の過程で、推計よりおよそ100万トン増加しており、能登半島地震においても同様に増える可能性がある。石川県の処理計画においても、全半壊した家屋の解体や運搬などが円滑に進むか見通せないことから、状況に応じた見直しを明記している。

■半島西側の多くの漁港は大がかりな工事必要

能登半島の小規模漁港の多くは、地震による隆起などで防波堤の基礎部分がむき出しになったり、海底がせり上がって泊地が干上がったりし、使用できない状態が続いている。

水産庁によると、6月15日現在、石川県が管理する8漁港のうち7漁港が使用不可または一部のみ使用可。市町管理の61漁港については使用不可が11漁港、一部のみ使用可も30漁港にのぼる。全面的に使用不可となっている漁港は、特に隆起が激しかった能登半島西側の珠洲(すず)、輪島両市などに集中している。

比較的規模が大きい港湾では、海底の土砂を取り除く浚渫(しゅんせつ)などを行い、一部では漁業再開のめどが立ち始めているが、半島西側の多くは大がかりな工事が必要だ。