「愛子天皇」を9割の国民が熱望…そのウラで多くの人が犯している「勘違い」

AI要約

9割の国民が女性天皇を支持するものの、愛子天皇実現の道は遠い。専門家や漫画家も支持しており、憲法との整合性も指摘されている。

政治家や有識者の議論が進まず、現状は国民の意向を無視。悠仁さまの皇位継承以来、本質的な議論が後退している状況。

皇室典範有識者会議の提言や女性天皇の支持率を考えると、今後の議論が重要であり、愛子さまが結婚を考える年齢にあることから、今の時期が議論のチャンスとも言える。

「愛子天皇」を9割の国民が熱望…そのウラで多くの人が犯している「勘違い」

 かつてここまで多くの日本国民が、同じ思いを共有したことはあっただろうか。9割が賛成しているにもかかわらず、「愛子天皇」実現の道はないに等しい。いったいなぜなのか、真正面から考える。

 「これまで女性天皇に賛成する人の割合はずっと70~80%で推移していましたが、まさか9割に達するとは……。ここ最近の愛子さま人気がいかに根強いかを示す結果とも言えるでしょう」

 こう話すのは象徴天皇制の専門家で、名古屋大学准教授の河西秀哉氏だ。

 4月27日に発表された共同通信の調査で、女性天皇を認める人が9割という衝撃的な結果が明らかになった。そのうちのほとんどが、「愛子天皇」を念頭に置いて回答したのは間違いないだろう。『ゴーマニズム宣言』で知られ、『愛子天皇論』という作品がある漫画家の小林よしのり氏も、愛子天皇を支持している一人だ。

 「私はかねてから、愛子さまが天皇になられるのがもっともふさわしいと主張してきました。今回の結果は、その考え方が9割の国民と共有できたことを示しているように思います。この世論の流れを見ても動こうとしない政治家は、まったくもって頼りになりません」

 小林氏が「皇室の将来をしっかり考えている、数少ない国会議員の一人」と評価する立憲民主党の馬淵澄夫氏もまた、現状の議論の進め方を批判する。

 「私は党の『安定的な皇位継承に関する検討委員会』の事務局長として立法府の議論に参加していますが、そこで女性天皇に関する話はまったく出ていない。世論調査では9割が容認しているにもかかわらず、現状は国民の思いを無視したまま進んでいます。永田町の論理だけで議論が進む事態があってはなりません」

 国民から望まれている方こそ天皇になるべきではないか――この考え方は、日本国憲法と照らし合わせても矛盾はないという。前出の河西氏が解説する。

 「憲法第1条には、〈天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く〉とあります。つまり戦後日本では、天皇が天皇であるのは『国民がそれが良いと感じているから』だったわけです。もし愛子さまが天皇になられたら、名実ともに憲法の理念が実現するとも言えますね」

 小泉政権下で組織された「皇室典範に関する有識者会議」は2005年、「女性天皇および女系天皇を認める」という報告書を提出している。だが2006年に悠仁さまが産まれて皇位継承の道筋が見えて以来、本質的な議論は棚上げにされてきた。

 静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次氏は、「しっかりと議論できるのは、この数年が最後のチャンスかもしれない」と話す。

 「最近の秋篠宮家の方々を見ていると、国民感情とズレている場面がしばしば見られます。もし悠仁さまが天皇になられても状況が変わらなければ、皇室そのものへの支持が揺らぎかねない。

 しかも愛子さまは昨年で22歳になられて、結婚も人生の選択肢の1つに浮かびつつあると言えます。ご結婚されて皇室を離れられる前に、結論を出さねばなりません」