袴田巌さんの姉らが再審法改正を訴え 「捜査検証できる制度が必要」

AI要約

再審制度の問題点を考える集会が開かれ、袴田巌さんの姉らが再審法改正を呼びかけた。

袴田さんの事件では検察側の未提出証拠の開示拒否が長期化の一因となった。

再審法改正に取り組む人々が登壇し、国民の監視姿勢の重要性が強調された。

袴田巌さんの姉らが再審法改正を訴え 「捜査検証できる制度が必要」

 再審制度の問題点を考える集会「今、変えるとき。ACT for RETRIAL 再審法改正へ―袴田事件報告を踏まえて―」が15日、大阪市北区の大阪弁護士会館で開かれた。再審公判の判決が9月に言い渡される袴田巌さん(88)の姉秀子さんらが登壇し、「巌の後に続く人たちのためにも法改正を」と呼びかけた。

 袴田さんは1980年に強盗殺人罪で死刑が確定。第2次再審請求で静岡地裁が「開始」を認めても、検察側が抗告するなどして争いは続き、再審が始まるまでに15年が経っていた。

 長期化の背景には、検察側が「法的根拠がない」などと未提出証拠の開示を拒み続けたこともある。地裁の勧告を受け、地検が多くの証拠を開示したのは死刑確定から30年が経った後だった。

 登壇した袴田事件弁護団事務局長の小川秀世弁護士は、「検察は重大な証拠を隠していた。捜査の過程を後から検証できる制度が必要だ」と指摘した。秀子さんは、今年3月に再審制度のあり方を検討する超党派の議員連盟が発足したことに触れ、「議員や弁護士が頑張ってくれている。ここで法改正にもっていかなければならない」と訴えた。

 パネル討議では映画監督の周防正行さんや、再審法改正に取り組む鴨志田祐美弁護士らが登壇した。鴨志田弁護士は、台湾では冤罪(えんざい)事件を機に、再審を開始する要件を明確にすることや、記録閲覧を認める改正が実現したことを紹介。「検察や裁判所はちゃんとやっていると漠然と信じるのではなく、国民が権力を監視する姿勢が重要。法改正の鍵を握っているのはみなさんだと伝えたい」と話した。(山本逸生)