技能実習を廃止し「育成就労」制度に 2027年にもスタート

AI要約

外国人技能実習廃止、育成就労導入へ。外国人労働者を熟練人材へ育成する新制度が可決。

育成就労は外国人労働者の育成と確保を目指し、特定技能1号へと育てることを重視。

技能実習と特定技能の違い、改正案のポイントを明確に示す。税金未払い永住者の処遇も明記。

技能実習を廃止し「育成就労」制度に 2027年にもスタート

 外国人技能実習に代わる新制度「育成就労」の創設を柱とする関連法改正案が13日、参院法務委員会で採決され、賛成多数で可決された。近く参院本会議で可決、成立する。途上国への技術移転をうたい、30年余続いてきた技能実習を廃止し、人手不足の分野で未熟練の外国人労働者を受け入れる仕組みに転換する。2027年にもスタートする。

 育成就労は「人材の育成と確保」を掲げ、受け入れた外国人労働者を原則3年間で、即戦力の人材と位置づけられる「特定技能1号」の水準に育てることを目指す。より熟練した技能が求められる「特定技能2号」の試験に合格すれば、家族帯同の無期限就労が可能になる。

 育成就労は受け入れ分野を特定技能と一致させて、両制度を一体的に運用する。外国人が日本で中長期的にキャリアアップできる道筋をつけた。

 技術移転が名目の技能実習では、同じ仕事の範囲内で職場を変える「転籍」は原則3年間は認められなかった。悪質な実習先から逃げられず「人権侵害の温床になっている」との指摘があったことも踏まえ、育成就労では一定の日本語能力や技能を条件に、転籍制限を1~2年に緩和する。

 技能実習で実習先の指導・監督に当たる監理団体は、「監理支援機関」に名称を改め、外部監査人の設置を許可要件にして中立性を確保する。

 技能実習では、一部の実習生が来日時に現地の送り出し機関に多額の手数料を支払っている実情があり、新制度下では、外国人労働者と日本の受け入れ企業とで手数料を分担する仕組みを導入する。

 長期滞在する外国人労働者が増えることを見込み、改正案は、税金や社会保険料を故意に支払わない永住者の永住許可を取り消せる規定を盛り込んだ。衆参の国会審議ではこの点が焦点となり、政府は「悪質な場合に限る」と説明。さらに、多くが「定住者」の在留資格への変更になるとの見通しを示した。【三上健太郎】

 ◇技能実習と特定技能

 いずれも外国人の在留資格。技能実習は、途上国の外国人が日本で働きながら技能を学ぶ制度で1993年に始まった。最長5年、90職種で受け入れ、2023年末現在、約40万人が就労している。特定技能は、人手不足が深刻な特定の産業で外国人労働者を受け入れるため、19年に設けられた制度。技能水準に応じて1号と2号がある。1号の在留期間は通算5年で、熟練した技能が必要な「2号」は期間の上限がなく、家族も帯同できる。24年2月末現在、12分野で約22万人が働く。