逃げるなと他候補追跡、ライブ配信し「再生数が半端じゃない」…過激動画は票より「悪目立ち」狙い

AI要約

4月の衆院東京15区補選での選挙妨害事件や民主主義をないがしろにする行為が横行している。

つばさの党が演説妨害や追跡行為を繰り返し、その様子をユーチューブでライブ配信。警察が警告を出すも、選挙活動の自由を盾に継続。

黒川被告らがユーチューブでトラブルの様子を配信し、支持者からの支持を得て動画は繰り返し再生される。

 4月の衆院東京15区補欠選挙で起きた選挙妨害事件など、国民の代表を選ぶ選挙をないがしろにする行為が後を絶たない。民主主義の基盤となる現場で何が起きているのか。その背景とともに探る。

 「お前が逃げるからこういうことになるんだぞ」。拡声機で罵声を浴びせながら、街頭演説中の候補者を追い回す。その様子が動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信されると、コメント欄はたちまち一般視聴者の応援メッセージであふれた。「やっちゃえ」「論破しろ」――。

 4月の衆院東京15区補選の期間中、政治団体「つばさの党」は他陣営への演説妨害や、「カーチェイス」と称した選挙カーの追尾を執拗(しつよう)に繰り返した。各陣営は演説を中断し、街頭演説の事前告知をやめざるを得なくなった。警視庁は警告を出したが、つばさの党は「選挙活動の自由」を盾に継続。代表の黒川敦彦(45)、候補者だった根本良輔(29)ら3被告が公職選挙法違反(自由妨害)容疑で逮捕・起訴されたのは補選が終わってからだった。

 黒川被告らは他陣営に押しかける様子をカメラに収め、相手側からの抗議や仲裁に入る警察官とのやり取りといった一連のトラブルの様子を配信した。補選期間中にユーチューブで配信したライブ動画は約40本。総再生回数は250万回を超えた。逮捕後も支持者らの手で動画投稿は続き、今月7日には、黒川被告が7月の都知事選に立候補する意向を発表する動画が投稿された。

 つばさの党の広報担当の外山麻貴・埼玉県朝霞市議(52)によると、黒川被告は2018年から自身の活動を紹介するため、ユーチューブを使い始めた。選挙の演説会場に「突撃」する動画を配信し始めたのは22年参院選から。チャンネル登録者数は増え続け、約25万人に達した。

 補選期間中の動画も繰り返し再生され、根本被告は動画内で「再生数が半端じゃない。これを広めてビジネスにしようと思っている」と語っていた。外山市議は「過激な動画は政治に関心のない層に刺さった。真面目に政策を訴えるだけでは注目されない」と話す。