職を転々、Xには「1人ストライキの顛末」と不満投稿…飯塚容疑者「保護観察は全然保護しない」

AI要約

大津市の保護司新庄博志さんを殺害した無職飯塚紘平容疑者が逮捕され、保護司制度に衝撃が広がっている。

保護司は被疑者の更生を支援する役割を持つが、飯塚容疑者は就労面での困難を抱えていた。

飯塚容疑者はコンビニ強盗事件の有罪判決を受け、更生の過程で問題が生じていた。

 大津市の保護司新庄博志さん(60)を殺害したとして8日に逮捕されたのは、担当していた保護観察中の無職飯塚紘平容疑者(35)だった。保護司制度を揺るがしかねない事態に衝撃が広がった。事件はなぜ起きたのか。保護司の安全対策は十分なのか。

 「かつてない重大事案で、非常に深刻に受け止めている。安全対策の強化を至急、検討しなければならない」。制度を所管する法務省の幹部はそう語った。

 保護司は罪を犯した人らと向き合い、立ち直りを支援する非常勤の国家公務員で、給与は支給されない。全国に約4万6000人いる。自らも保護司で、全国保護司連盟の吉田研一郎・事務局長(66)は「本当にショッキングで、あってはならないこと。保護司として活動することに不安を感じる人が増えるのでないかと心配している」と述べた。

 飯塚容疑者は2018年10月にコンビニ強盗事件を起こし、19年6月に大津地裁で懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決を言い渡された。同年7月に確定し、新庄さんの指導を受けながら更生の道を歩むことになった。

 更生の柱となるのは就労だ。しかし、飯塚容疑者は、職場になじめず転々と仕事を変えていた。

 21年2月頃からは、飯塚容疑者は大津市内の物販店でアルバイトとして勤務。接客はせず、主に商品整理を黙々とこなしていたという。ある従業員は「仲の良い職場だったが、壁を作る感じで会話に入ってくることがなかった」と振り返る。

 約1か月後、従業員間のLINE(ライン)に<社風も合わずパワハラも凄(すご)く精神的苦痛が酷(ひど)いため辞めさせて頂きます>とメッセージを残して突如、仕事を辞めた。別の従業員は「パワハラはなく、何が不満だったか分からない」と首をかしげた。

 22年2月から約4か月勤務した同市内の建設会社でも周囲と会話を交わすことなく、朝から夕方まで型枠に付いたコンクリートをこそげ落とす作業を繰り返していたという。