〈6億円を荒稼ぎ〉「まだ生き残っていたのか…」五菱会残党らを逮捕、背後にうごめく情報屋「センター」とは?「官報情報は1人につき30円、サラ金顧客は1000円」元ヤミ金業者が明かした名簿の報酬額

AI要約

五菱会の元組織が貸金業法違反容疑で逮捕された。違法な高金利貸し付けを行い、ヤミ金業界で稼業を再開していた。

五菱会は2003年にヤミ金融システムを構築し、巨額の利益を得ていたが、その後は取り締まりされた。

逮捕された男は五菱会の情報網を利用してヤミ金業を展開しており、その情報網は今も健在で業界を支えている。

〈6億円を荒稼ぎ〉「まだ生き残っていたのか…」五菱会残党らを逮捕、背後にうごめく情報屋「センター」とは?「官報情報は1人につき30円、サラ金顧客は1000円」元ヤミ金業者が明かした名簿の報酬額

まだ生き残っていたのか-。ニュースで報じられたその組織の名前を耳にした読者の中にはそんな感想を抱いた者も少なくないだろう。「五菱会」。特定抗争指定暴力団・六代目山口組の二次団体、清水一家の前身組織に当たるこの組は、1990年代後半から2000年代前半にかけて大規模なヤミ金融グループを構築し、警視庁などが捜査に乗り出したことで世間の耳目を集めた。悪名を馳せたこの組織の残党が5月警視庁に貸金業法違反(無登録営業)容疑で逮捕されたのだ。ヤミ金システムを支える「情報屋」の正体とは。

警視庁生活経済課が、国や都道府県への登録なく違法な高金利で金銭を貸し付けたとして5月22日までに逮捕したと発表したのは、東京都の無職の男(44)ら男女4人だ。警視庁担当の全国紙社会部記者はこう語る。 

「警視庁の調べで、逮捕された男が法定金利の3~18倍に及ぶ違法な貸し付けを行っていたことが判明しています。男は、こうしたノウハウを五菱会系のヤミ金業者にいた頃に身につけていた。

そこでは、債務の取り立てや客集めの担当をしていたようで、2018年ごろから稼業を〝再開〟していた。今年2月までに約1万5000件の貸し付けをして約6億円の利益を得ていたようです」

男がかつて所属していた「五菱会」の存在が知れ渡ったのは、2003年のこと。警視庁などの捜査で、組織的なヤミ金融システムを構築し、暴利を得ていた実態が判明した。

その後のヤミ金融の徹底取り締まりにもつながったこの事件では、「ヤミ金の帝王」の異名を取った組幹部が中心となって独自のスキームを作り上げていた。

組幹部は、自身が実質支配していた「カジック」というヤミ金業者を頂点としたピラミッド型の組織を構築。全国に支店網を広げ、莫大な利益をあげた。組幹部が資金洗浄のためにスイスに開設した銀行口座には、約58億円の資産があったとされる。

そして、そんな五菱会が構築した集金システムを支えていたのが、ターゲットとする債務者の借り入れ状況などの個人情報を集約する「センター」と呼ばれる情報網だ。

関係者によると、今回、警視庁が摘発した事件で逮捕された男が頼りにしたのも、この情報網だったとされる。

男は、調べに「センターから顧客名簿を提供され、事務所の建物も紹介された」と供述。この「センター」から顧客名簿を入手したほか、ヤミ金融を開業する際に入居した事務所についても紹介を受けていたとされる。

実は、この「センター」なる情報網は、五菱会事件が弾けた後も生きながらえてきたのだという。ヤミ金業界にコネクションを持つ、ある暴力団関係者がこう解説する。

「警察が『センター』と呼んでいるのは、五菱会が使っていた、いわゆる情報屋のことだ。今回はパクられた業者のほうに『元五菱会』というキャッチーな肩書きがあったために派手に報道されたわけだが、取引相手はこの業者に限らない。

センターはいまも全国にヤミ金業者へのネットワークがあり、彼らの商売を影で支える役目を果たしているよ」