スピード違反取締装置、署員がダミー機を手作り…時には本物で摘発するので安全運転を

AI要約

新潟県警糸魚川署が手作りの「ダミー機」を使い、交通事故減少を目指す取り組みを始めた。

可搬式のダミー装置は通学路でも設置可能で、少ない人員で取り締まりができる。

宮崎巡査長がわずか数時間でダミー機を制作し、効果が期待されている。

 まるで本物の取締装置みたいな模型を道路に置いて、スピード出し過ぎを抑止――。新潟県警糸魚川署が署員手作りの「ダミー機」の運用を先月から始め、交通事故減少への効果が期待されている。「本物」に摘発される場合もあるので、ドライバーはくれぐれも日頃から安全運転を。(原大地)

 同署は5月24日、糸魚川市立糸魚川小学校前の通学路で、下校時間帯に合わせ、可搬式速度違反自動取締装置を模した白い箱形のダミー機と三脚を設置した。

 ダミー機は、縦約25センチ、横約30センチ、高さ約15センチの持ち運び可能なサイズ。署員は近くで、通学路を行き交う乗用車やトラックなどがシートベルト未着用などの違反をしていないか目を光らせた。

 県警は2023年3月から可搬式の速度違反自動取締装置を本格運用し、現在2台を保有している。今年4月末までに計149回運用し、計384件の違反を検挙した。

 可搬式の装置は、固定式と違って通学路など狭い生活道路にも設置でき、少ない人員で取り締まりができるのが特長。一方、県内29署で2台を運用するため、各署の使用回数は限られている。

 こうした状況を受け、同署が考案したのが可搬式の「ダミー機」だった。手がけたのは、同署交通課の宮崎浩輔巡査長(30)。上司から4月上旬に提案され、「県警で初の試みと聞き、やってみようと思った」と取りかかった。

 制作に要したのは、わずか数時間。署内にあった厚紙やブックスタンドなどを材料に用い、レンズ部分は著作権のないフリー素材の画像を使用した。

 「再現性にこだわった」という宮崎巡査長は、「備品や不要品を組み合わせたので費用は0円、出来栄えは100点だ」と胸を張る。

 運用前に、市内の別の通学路で実施した検証では、走行車両の平均速度が約5キロ抑えられたという。

 宮崎巡査長は「手作り感満載だが、走行中のドライバーからは本物と見分けはすぐつかない。効果は期待できる」と話す。