郵便局トマトが豊作…日本郵便社員が自社農場で栽培、収穫したら「ゆうパック」で配送

AI要約

長野市にある日本郵便の自社農場で栽培されるフルーツトマト「さやまる」が豊作となり、販売期間が延長された。

「さやまる」は甘みが強く糖度8以上の特徴的なトマトで、直ちに配送されるため新鮮さが保たれている。

開発において、自社の独自性を出すためにトマト栽培を選択し、研究を積み重ねている。

 長野栗田郵便局(長野市)近くに広がる日本郵便の自社農場で栽培されているフルーツトマト「さやまる」が今年豊作となり、例年5月末までの販売期間を今月15日に延長した。生産から出荷まで一貫して同社が担う唯一の事業を発案し、自らも栽培作業に従事する同社事業共創部の鈴木雄輔さん(36)は「過去最高の糖度。他とはひと味違ったトマトを自分や家族、贈答用にぜひ楽しんでほしい」とアピールする。(安田ななか)

 「さやまる」の名前の由来は長野市の郵便番号の「380」。「さわやか」で「まるい」トマトを全国に届けようとの思いを込めた。4~5度とされる一般的なトマトの倍近い糖度8以上のものを厳選しており甘みが強く、小ぶりで硬く締まっている食感が特徴。収穫後直ちにゆうパックで配送できるため、県内や首都圏には最短で収穫翌日の午前には届けられる。日持ちがするだけでなく、実が熟するまで待ち出荷することから、うま味も濃厚だ。

 さやまる開発に乗り出したのは2016年。自社商品の開発が物販事業やゆうパックの活性化につながるのではないかと、鈴木さんが思い立ったのがきっかけだ。本社の物販担当の部署で勤務していた頃、「郵便局にしかない独自の商品がほしい」という各地の社員の言葉が心に残っていた。他社製品や各地の特産だけではなく、独自性を出すには農産物が良いと考えた。

 郵便局のカラーと同じ赤色の作物としてイチゴも候補にあがったが、他社製品との違いの打ち出しやすさなどからトマトに決めた。自社所有の広い土地があり、昼夜の寒暖差で糖度が上がることや全国に配送しやすい点から長野県を選んだ。

 大学時代は文系だった鈴木さん。独学でトマト栽培の勉強を始め、土の代わりに砂で育てる東京農業大学の研究を知った。生命力が強く味が濃厚に仕上がるといい、大学に週1回通い、半年間ほどノウハウを学んだ。現在も同大学と生産のデータを共有し、日々改善を進めている。