将棋関連書籍300冊編集・島田修二氏が予想する棋聖戦激闘の行方 挑戦者・山崎八段は「直感ですごい手を放つ」逆転男 進む藤井研究…増えてきた〝初見の形〟

AI要約

藤井棋聖と山崎八段のタイトル戦「ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負」が開幕。藤井棋聖の永世棋聖獲得への挑戦と山崎八段の独創的な棋風が注目される。

藤井棋聖は強さを見せつつも、最近は課題に直面しており、相手の変化球に苦戦している。対策の幅を広げる必要がある。

山崎八段は天才型の棋士で、常識破りの手を指すことで藤井棋聖を苦しめる可能性がある。

将棋関連書籍300冊編集・島田修二氏が予想する棋聖戦激闘の行方 挑戦者・山崎八段は「直感ですごい手を放つ」逆転男 進む藤井研究…増えてきた〝初見の形〟

横綱相撲か、番狂わせか-。将棋の藤井聡太棋聖(21)=8冠=に山崎隆之八段(43)が挑戦するタイトル戦「ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負」(主催・産経新聞社など、特別協賛・ヒューリック)が6日、開幕する。藤井棋聖の最近の調子、棋聖戦の展望などについて将棋関連書籍の編集300冊、若き八冠への取材経験も豊富なマイナビ出版の島田修二部長(45)に分析してもらった。(取材構成・篠田哉)

千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で第1局が指される棋聖戦。藤井棋聖が防衛すれば5連覇で、初の永世称号「永世棋聖」獲得となる。タイトル初戴冠を狙う山崎八段は〝独創的〟な棋風が持ち味だ。入社以降、将棋書籍編集に携わり15年、将棋ウォッチャーの第一人者と言える島田氏の展望は-。

「実績だけを見れば藤井棋聖が圧勝で押し切る可能性は高い。ただ、山崎八段なら何かやってくれるのではと期待させるものがありますよ。この対戦は、めちゃめちゃおもしろいはず!」

藤井棋聖は初の「かど番」に追い込まれて臨んだ5月31日の叡王戦第4局で勝利を収め、何とかフルセットに持ち込んだ。4月10、11日の名人戦第1局の勝利でタイトル戦で歴代2位の16連勝として無敵ぶりは不変と思われたが、その後は黒星が増えてやや足踏みしているようにも見える。

「課題にぶち当たっているところでしょうか。相手が真っ向勝負ではなく変化球を投げ始めて、それにどう対応するか少し苦戦している」

AI(人工知能)研究全盛の将棋界。ベテラン棋士もAI研究を取り入れ藤井棋聖に対してきたが、その申し子が立ちはだかった。だが、最近は相手も藤井対策で「AIが『最善手』とは必ずしも判断しない手」であえて勝負するようになり、藤井棋聖には〝初見〟の形が増えた。

「本人も最近の取材に『深さより広さ』が課題と話していた。さまざまな形に広く対応できるようにする必要がある。潮目が変わってきており、藤井棋聖には試練の時期かもしれません」

そのタイミングであたる山崎八段については「定跡とは異なる変わった手を指す天才型の代表的な棋士。直感ですごい手を放ち、逆転勝利も多い」と解説。常識破りの一手で八冠をてこずらせる可能性もありそう。