「ミニ新幹線」あなどってはいけない! フル規格を上回る座席も 歴代車の乗り心地を徹底解説

AI要約

1990年に登場した400系は、在来線車両をベースに新幹線直通運転を行うミニ新幹線車両の先駆けであり、専用の座席配置や機能を持っていた。

車体の小ささから可動式延長ステップが装備され、新幹線区間でのホームとの隙間を埋め、後のミニ新幹線にも影響を与えた。

特にグリーン車の座席は1+2列配置でゆとりを持ち、座り心地において非常に優れていた。

「ミニ新幹線」あなどってはいけない! フル規格を上回る座席も 歴代車の乗り心地を徹底解説

 いわゆる「ミニ新幹線」は、在来線車両の車体を持ちつつ、新幹線へ直通運転を行う新幹線車両のこと。その歴史は、1990(平成2)年に400系の試作車が登場してから2024年で35年目となります。この間、400系、E3系、E6系、E8系と4車種のミニ新幹線が製造されました。

 

 併結で走るフル規格の新幹線車両と比べると一回り小さく、座席の数も少ないミニ新幹線車両ですが、フル規格車両に劣らない、忘れ難い座席もありました。歴代ミニ新幹線車両について、座席鉄である筆者(安藤昌季:乗りものライター)が座席を中心に紹介したいと思います。

■400系

 1990年に試作車が、1992(平成4)年より量産車が製造された、山形新幹線用の車両です。車体全長20.5m(先頭車のみ23m)、車体幅2.94mと在来線並みであり、一般的なフル規格新幹線の車体長25m、車体幅3.4mより小さなものでした。

 このため、車体には可動式延長ステップが装備され、新幹線区間でのホームとの隙間を埋めました。この仕様は後のミニ新幹線に踏襲されていきます。

 接客設備は普通車とグリーン車です。当時のJR東日本は、普通車自由席と普通車指定席の設備に差を付けており、自由席の座席間隔は910mm、指定席は980mmでした。リクライニング角度も、指定席の方が大きく取られていました。なお15号車は後に製造されたため、座面スライド機構を搭載。普通車の側窓は2列1窓で、眺望性に優れていました(400系以外は1列1窓)。

 特筆すべきはグリーン車で、1160mmの座席間隔は以降の車両と同じですが、ミニ新幹線では唯一の1+2列配置。座席幅も493mmあり、2+2列のフル規格新幹線よりも広く(N700Sが480mm)、非常にゆったりとしていました。E8系が登場した現在の目線でも、座り心地では最高だと思います。400系は2010(平成22)年までに引退しました。