断じて「悔し紛れ」にいってるワケじゃない! 2世代古いヘッドライト「ハロゲンランプ」がもつLEDやHIDにはないメリット

AI要約

自動車用ヘッドライトの歴史を振り返ると、アセチレンランプから始まり、白熱球、シールドビームと進化してきた。

ハロゲンランプはLEDよりも古い技術だが、劣っているとは限らず、そのよさを再評価する必要がある。

新しい技術が台頭する中でも、古い技術には独自の魅力や利点があることを忘れてはいけない。

断じて「悔し紛れ」にいってるワケじゃない! 2世代古いヘッドライト「ハロゲンランプ」がもつLEDやHIDにはないメリット

 スマホやパソコンの世界の技術の進化は日進月歩で、いまや半年も情報のキャッチが遅れると、取り返しが付かないくらいの遅れとなってしまうことも珍しくありません。クルマの業界もそれは同じで、15年くらい前までのヘッドライトは「HID(高輝度放電ランプ)」が主流でしたが、いまや軽自動車を含めて多くの車種に「LED」が採用されています。そして昨今では「レーザービーム」なんていう新たな方式のヘッドライトが登場しており、まだ高級車など一部にしか採用例はありませんが、順次下のクラスにも普及していくでしょう。

 そうして新型車には以前のものよりも高い性能を備えたものがどんどん採用されていき、古い技術のものは採用されなくなって廃れていくという大きな流れがあります。しかし、古い技術の製品が、すべての面で劣っているかというと、けっしてそうではありません。

 ここでは、世代でいうといまのLEDよりも2世代も前となってしまった「ハロゲンランプ」にスポットを当てて、そのよさを掘り起こしてみようと思います。

 はじめに、ザックリと自動車用ヘッドライトの歴史を振り返って見ましょう。

 最初に自動車用ランプとして実用化されたのは「アセチレンランプ」と呼ばれる燃焼型のランプでした。登場は1900年代初頭。原理はアルコールランプと同じで、燃料を燃焼させて発生した光で前を照らすというものです。アルコールよりはるかに激しい光を発するアセチレンを使用してレンズで収束させることで、それなりに実用性の高いヘッドライトだったようです。

 アセチレンランプの実用化から10年後の1910年頃には、電気をフィラメントに通して発光させる「白熱球」タイプのランプが登場します。ただ、この当時はまだダイナモ(発電機)が登場していなかったので、電気を溜める蓄電池を積んでその電力を使って照らしていたようです。

 徐々に自動車にダイナモが搭載されるようになり、電気式のランプが普及してくると、よりシンプルで頑丈な構造の「シールドビーム」が登場してきます。これは自動車のヘッドライトの用途に特化した形状とシンプルな一体型の構造をもっていて、省スペース性にも優れていたことから一気に各国のメーカーに採用例が増えていきました。

 登場は1940年ごろですが、それから30年以上にわたって自動車用ヘッドライトのスタンダードとして使われ続けていました。