「原発新増設の方向性明確に」 関西電力社長、国の次期エネルギー基本計画に注文

AI要約

関西電力の森望社長は、次期エネルギー基本計画において原子力発電所の増設や建て替えを求める一方、再生可能エネルギーの導入で原発依存度を低減すべきと述べた。

関電は福井県に使用済み核燃料の中間貯蔵施設を計画し、操業開始を目指す一方、再処理工場の完成が危ぶまれている課題も抱えている。

電気料金の負担軽減策がなくなり、規制料金の値下げについて決定はまだないとしている。

「原発新増設の方向性明確に」 関西電力社長、国の次期エネルギー基本計画に注文

関西電力の森望社長は30日の定例会見で、議論が始まった国の次期エネルギー基本計画について「原子力発電所の依存度を低減するのではなく、新増設やリプレース(建て替え)の方向性を明確にしてほしい」と述べた。ただ、原発が立地する福井県の外での確保を求められている使用済み核燃料の中間貯蔵施設については、令和12年ごろに2千トン規模で操業開始としている計画に向けて「取り組みを確実に進める」と話すにとどめた。

現行の「第6次エネルギー基本計画」は、原発を運転コストが安く二酸化炭素(CO2)を排出しない「ベースロード電源」と位置付ける一方、原発依存度を再生可能エネルギーの導入などで「可能な限り低減させる」と明記している。

この点で森氏は、出力の不安定な再エネに対し、原子力と火力が安定していることから「将来に向けて3つの電源をしっかりそろえることが必要。その中で原子力をどう位置付けるのかに注目している」と話した。

一方、関電は昨年10月、使用済み燃料について日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)などに搬出する工程を福井県に提示し、了承を得た。再処理工場は「6年度上期のできるだけ早期」としている完成が危ぶまれている。関電は安全審査対応の人員を同工場に派遣しており、森氏は「工程に基づいて実行していく」と強調した。

電気料金で国の負担軽減策が7月分からなくなり、家計の負担が増すことについては「国の制度上の変更で、われわれが差配できるところではない」とし、規制料金の値下げについて「今の時点で決まったものはない」とした。(牛島要平)