600億円の使い道は?「森林環境税」6月から徴収…住民税に年1000円“上乗せ”

AI要約

値上げラッシュが続く中、6月から新たに導入される「森林環境税」についての徴収が始まる。

税収は国内の森林整備などに使用され、市区町村や都道府県に配分されるが、その具体的な使い道にはまだ不透明な点がある。

地域の活性化や環境保護のために、税金の使途について透明性が求められている。

600億円の使い道は?「森林環境税」6月から徴収…住民税に年1000円“上乗せ”

 6月も値上げラッシュが続くなか、新たに「森林環境税」の徴収も始まります。これは、どんなことに使われる税なのでしょうか?

 29日、6月からの値上げを決めた、埼玉県所沢市のうどん店を訪ねました。

自家製うどん「うどきち」

倉田將昭店主

「お肉は約1キロ1000円だったのが、約1200円まで上がる。干しシイタケは、すごく上がって泣きたくなるぐらい」

 3月にも、値上げしたばかりでした。

倉田店主

「これで落ち着くだろう、1年もつかなと思っていたが、全然世の中の値上げの動きが止まらなくて」

 看板メニューの肉汁うどんは、今年に入って2度の値上げで150円アップしてしまいます。

 豚肉はより上質な「イベリコ豚」に変更して、ただの価格アップにならないよう工夫もしました。

倉田店主

「少しでも安いものがあれば、サンプルを取って確かめる。今まではやらなくてもいい仕事が、新たに加わってきている」

 食費などの値上げラッシュが続くなか、6月から新たな税負担も増えます。それが「森林環境税」です。

 国内の森林整備などを目的としたもので、住民税に年1000円“上乗せ”されます。

 対象者はおよそ6000万人。600億円と見込まれる税収は、市区町村と都道府県に配分されます。

街の人(30代)

「知らなかったです」

街の人(70代)

「いきなり森林って言われても、え?何だ?って印象です」

 ほとんど知られていない「森林環境税」ですが、実は、国は先行して2019年度から都道府県と市区町村に「森林環境譲与税」を交付しています。

 その額は、2022年度までの4年間で1280億円。ただ、およそ4割が使われていません。

 東京・大田区も、そのひとつです。

大田区役所企画経営部

田村彰一郎財政課長

「都市部においては、特に森林を整備するそのものの行為は、なかなか課題があるのではないかと思う」

 そもそも大田区には、人工林がありません。支給された2億2000万円のうち、2億円は使われていません。

 3年前に開館した「田園調布せせらぎ館」。内外装に、木をふんだんに使うなど、1億5000万円が木材利用に使われていて、そのうち「森林環境譲与税」から2100万円が充てられました。

利用者

「子どもを自由に遊ばせられたりとか、自然に触れられることができるというのは、すごくいい」

 今年度以降は、障害者雇用をサポートする施設などで行われる「木工作業代」や保育園、小学校で木育を進めるなど、公共施設の木材利用に活用していく方針だということです。

 一方で、このような意見もあります。

街の人

「本当に、そういうものに使っているのかという不透明さがあったりとか。住んでいる場所によって使われ方が違っていたり、住民に恩恵がいかないような使われ方、差が出るのは困るかな」

 大田区には人口の多さから、2022年度は7800万円配られました。来月から配分される森林環境税の使い道については、次のように話します。

地域力推進部 田園調布特別出張所

木下智弘所長

「森林環境税のみならず、やはり血税というところで運営をしていくというところで、より魅力を増加させていかなければいけない。身の引き締まる思いです」

(「グッド!モーニング」2024年5月30日放送分より)