中国「パワーショベルの販売回復」は景気の光明か 不動産不況の底入れに期待も、先行きは不透明

AI要約

中国のパワーショベル販売台数が2カ月連続で増加し、景気の先行きを示すポジティブなサインとなっている。

しかし、市場の熱気が徐々に冷めており、国内販売の下振れが懸念されている。

建設機械の需要回復は一時的なものとの見方も出ており、将来への不透明感が残る。

中国「パワーショベルの販売回復」は景気の光明か 不動産不況の底入れに期待も、先行きは不透明

 パワーショベルの販売台数は、土木・建設業界の景況感を敏感に反映する指標の1つだ。中国では3月と4月の2カ月連続で、パワーショベルの国内販売台数が前年同月比プラスを記録した。

 中国工程機械工業協会が5月12日に公表したデータによれば、大手建機メーカーが2024年4月に販売したパワーショベルは前年同月比0.27%増の1万8800台。その内訳は国内販売が13.3%増の1万800台、輸出が同13.2%減の8040台だった。

 同協会の3月のデータでは、総販売台数は前年同月比2.34%減の2万5000台。そのうち国内販売が同9.27%増の1万5200台、輸出が同16.2%減の9792台となっていた。

■国内販売は増加、輸出は減少

 これらのデータからわかるように、3月と4月のパワーショベル販売は、総販売台数は前年同月比横ばいか微減、国内販売は増加、輸出は減少という、おおむね同じ傾向を示した。

 中国では2022年から不動産市況の低迷が続き、パワーショベルを含む建設機械の国内販売が激減。そんな中、建機メーカー各社は海外市場に活路を求め、輸出は大きく伸びる状況が2023年まで続いていた。

 それだけに、国内販売の2カ月連続の増加は、中国景気の先行きを読むうえでポジティブなサインと言える。

 とはいえ、先行きを楽観するのはまだ早い。建機業界の専門誌「工程機械」の報道によれば、4月後半から市場の熱気が徐々に冷めており、「国内販売の下振れが大きくなる可能性も否定できない」という。

 パワーショベルは(マンション用地の整地作業など)不動産開発プロジェクトの初期段階で多く使われることが多く、その販売台数は新規住宅着工面積(の統計データ)と強い相関関係があるとされる。

 しかし国家統計局のデータによれば、2024年1~3月期の中国国内の新規住宅着工面積は前年同期比27.8%減少した。

■需要回復は一時的との見方も

 「建設機械の国内市場には、(中国政府による)総額1兆元(約21兆5400億円)の国債発行計画や(製造業の)設備更新を奨励する政策などの好材料が見られる。それでも、建機の需要が短期的に大きく増えるとは考えていない」

 中国の建機大手の徐工集団工程機械は5月10日、機関投資家向けのヒアリングの席で慎重な見通しを示した。

 建機の世界的大手である日本のコマツは、自社製品の遠隔監視システムのデータをもとに建機の稼働時間をまとめた「Komtrax(コムトラックス)データ」を毎月公表している。

 それによれば、コマツ製建機の中国地区における2024年3月の稼働時間は、前年同月比10.8%減少した。

 (財新記者:方祖望)

※原文の配信は5月12日