オゼンピックが狙っている-肥満治療薬からの脅威に砂糖業界は鈍感

AI要約

サリー・ライオンズ・ワイアット氏は肥満症治療薬の「オゼンピック」が砂糖業界を狙っている可能性を指摘。

砂糖業界の関係者は、需要についての議論を避け、肥満症治療薬の影響に気付いていない様子。

モルガン・スタンレーの予測では、食欲を抑える薬によりアメリカ人のカロリー摂取が減少し、甘い食品の消費も減るとの見方。

オゼンピックが狙っている-肥満治療薬からの脅威に砂糖業界は鈍感

(ブルームバーグ): 800人以上の砂糖業者が集まった会場で、消費者調査会社サーカナの幹部サリー・ライオンズ・ワイアット氏は重要なメッセージを発した。肥満症治療薬の「オゼンピック」が業界を狙っている。

同氏は今月開かれた「ニューヨーク・シュガー・ディナー」でのスピーチで、オゼンピックは将来、巨大なものになる可能性があると訴えた。

しかし誰も注目していないもようで、参加者たちは時計の針を見ながらスピーチが終わるのを待ちかねていた。

夕食会ばかりではなく、毎年恒例のイベントであるニューヨーク・シュガー・ウィークに集まったトレーダー、ブローカー、アナリストたちは、カンファレンス、個別プレゼンテーション、ミーティングなどで顔を合わせたが、肥満症治療薬の話題は出なかった。

参加者らは来シーズンにどれだけの砂糖が手に入るかについての見通しを交換し、バイオ燃料の役割について議論し、ニューヨーク取引所のルールまで話題にしたが、需要についての話は付け足し程度だった。

しかし、ウォルマートの幹部はノボ・ノルディスクのオゼンピックやイーライ・リリーのゼップバウンドが食品販売に影響を及ぼしていると警告し、複数のアナリストが行った調査は顧客が食料品店やレストランで使う金額が減っていることを示した。

人口の増加に伴う需要の伸びに慣れた砂糖トレーダーは、需要への次の大きな打撃を見過ごしている可能性がある。パメラ・カウフマン氏らモルガン・スタンレーのアナリストは先月のリポートで、食欲を抑える薬によって2035年までに米国人のカロリー摂取が1.5-2.5%減少し、焼き菓子、菓子、サイダーなどの甘いものの消費は5%も減るだろうと予測した。

拡大する市場

モルガン・スタンレーは、2035年までに米国の人口の約1割が「GLPー1受容体作動薬」を服用するようになると予想している。GLPー1薬はもともと糖尿病の治療薬として開発されたが、減量の強力な手段として多くの人々に利用されている。