住友ベークライトがTg240度対応のエポキシ封止材料開発 次世代SiCパワーモジュール向け

AI要約

住友ベークライトが次世代SiCパワーモジュール向け高Tgエポキシ封止材料を開発したことを発表。

SiCパワーモジュールは電力効率を高め、エネルギー消費を抑える重要なデバイスであり、自動車業界でも需要が高まっている。

開発された封止材料は高耐熱性を持ち、顧客の評価を想定したサンプル提供を開始し、量産化を見込んでいる。

住友ベークライトがTg240度対応のエポキシ封止材料開発 次世代SiCパワーモジュール向け

 住友ベークライトは27日、次世代SiCパワーモジュール向け高Tgエポキシ封止材料を開発した、と発表した。

 パワーモジュールは、電力の効率的な使用が可能になり、エネルギーの消費を抑えるとともに、機器の性能を最大限に引き出すことを担う重要なデバイス。特に自動車業界では、BEVの需要の高まりにより、バッテリー供給電圧が高まる流れで、パワーモジュールのチップの主要素材はシリコン(Si)からシリコンカーバイド(SiC)に置き換わり、さらなる機能向上が進められている。

 Siに比べSiCは、エネルギー効率が良く高電圧耐性、高温耐性などの優れた機能を持つ。これらの機能を十二分に発揮するために半導体封止材のさらなる高耐熱性が求められている。

 今回開発した次世代SiCパワーモジュール向け高Tgエポキシ封止材料は、エポキシ樹脂を高Tg化するために、通常の架橋密度向上に加えて、樹脂の主鎖骨格を剛直化することで、240度に達するガラス転移温度を実現した。さらに独自の樹脂の配合とフィラーの組み合わせのアプローチによってエポキシ封止材料化に成功したもの。

 また、エポキシ樹脂と反応する硬化剤の種類の最適化によって、硬化後の物性として硬く・脆くなる現象を避け、パワーモジュールの組み立てプロセス中に不具合が生じない応力緩和性能を有することが確認できた。

 次世代SiCパワーモジュール向け高Tgエポキシ封止材料(ニューグレード)については、顧客の評価を想定したサンプルの提供を開始し、25年度からの量産化を見込んでいる。