注文住宅の収納計画、失敗例と改善案を3つ紹介! 収納が多いのに片付かない間取りの原因とは?

AI要約

注文住宅づくりにおける「収納計画」は生活導線とセットで考えなければ不満が出てくる可能性がある。

本記事では、収納計画の失敗事例と改善案を紹介し、必要な収納量を確保することの重要性を強調する。

動線と収納はトレードオフの関係にあり、必要収納量を確保してから動線を最適化することが重要。

注文住宅の収納計画、失敗例と改善案を3つ紹介! 収納が多いのに片付かない間取りの原因とは?

注文住宅づくりにおける「収納計画」は生活導線とセットで考えなければ「収納は多いけれど片付かない、暮らしにくい」などの不満が出てくることもあります。本記事では、拙著『この間取り、ここが問題です!』(講談社+α新書)から、収納計画の失敗事例とその改善案の間取りを引用して紹介します。(株式会社かえるけんちく代表・一級建築士 船渡亮)

目次【収納計画の失敗例1】実は非効率で使いにくいウォークスルーWIC【収納計画の失敗例2】パントリーがあるのに片付かないキッチン【収納計画の失敗例3】人気のシューズクロークが犠牲にしたもの

 前回の記事では、収納計画の基本的な考え方を3ステップで解説しました。本記事では、拙著『この間取り、ここが問題です!』(講談社+α新書)から、収納計画に関わる3事例を取り上げ、この間取りの暮らしにくさと改善方法を解説いたします。

 「家事がしやすい収納」として紹介されることが多いのが、2方向からアクセスできる納戸タイプの収納です。

 公務員夫婦の木村さんの間取りでもキッチン背面に「ウォークスルーのWIC(ウォークインクローゼット)」を採用しています。

 一見、パントリーとキッチンの両方から使えて便利そうですが、収納効率が悪く、家族の洋服を全て入れることができません。

 木村さん夫婦の洋服を収納するには、5.0mのクローゼットが必要ですが、この間取りでは、右の押し入れ部分を除くと、半分の2.6mしか確保できていませんでした。

 また、主寝室に布団を敷いて家族4人で就寝の予定ですが、布団の収納場所がWIC内のため、片付けが面倒な間取りです。

間取り改善案:ウォークスルーをやめる これらの「暮らしにくさ」は、ウォークスルーをやめることで改善しました。

 まず、WICはコの字型にすることで、6m以上のクローゼット収納を確保できました。これなら家族全員の洋服を収納できます。

 また、全てを収納にするのではなく、着替えるための空間も残しています。さらに、主寝室側から使える押し入れ収納も作りました。これで布団の出し入れも楽にできます。

 前述の「ときめく収納アイデア」にとらわれてしまうと、非合理的な間取りを採用しがちです。まずは必要な収納量を確保することが重要です。

 一般に「動線」と「収納」はトレードオフの関係にありますので、まずは「必要収納量」を確保した上で、動線を最適化していくのが良い間取りへの近道です。