航続距離が短い電動バイクって不便? 意外と大丈夫?

AI要約

バイクの電動化が進む中、バッテリーの性能が課題となっている。

航続距離の短さが電動バイクの利便性に影響を与えるが、日常利用では不便を感じない場合もある。

充電はガソリン給油よりも簡単であり、使用状況によっては電動バイクの利便性も十分に考えられる。

航続距離が短い電動バイクって不便? 意外と大丈夫?

 世界的な脱炭素の潮流のなか、二輪業界もバイクの電動化にむけて日々研究を重ねています。例えばカワサキは2035年までに「先進国向け主要機種の電動化」を、ホンダは2040年代までに「全ての二輪製品でのカーボンニュートラル実現」をそれぞれ目標としています。

 ただし、バイクの電動化はクルマのそれと比べて遅れています。その主な原因は、バッテリーの性能です。

 電気自動車や電動バイクに使用されるリチウムイオンバッテリーは、ガソリンと比べてエネルギー密度が非常に低いという特徴があります。わかりやすく言い換えると、同じ重さのバッテリーとガソリンでは、ガソリンの方が圧倒的に大きなエネルギーを蓄えているということ。

 つまり、電気自動車や電動バイクがガソリン車と同等の航続距離を実現しようとすると、大きくて重いバッテリーを積む必要があるということになります。

 しかし、クルマと異なりバイクにとって重量増は大きなデメリット。すでにいくつか電動バイクが販売されていますが、その多くに共通するのは航続距離の短さです。

 例えば、ヤマハの原付一種バイク「ビーノ」の航続距離をWMTCモード燃費とタンク容量から算出すると、およそ263km。一方、ヤマハの同クラスの電動バイク「Eビーノ」の航続距離は32kmです。

 では、航続距離の短い電動バイクは、不便ではないのでしょうか。

 もちろん、不便だと感じるかどうかは使い方次第。ただし、電動バイクの航続距離が短くても、一定の人にとっては不便ではないといえるかもしれません。

 その基準となるのが、バイク所有者の一日あたりの走行距離です。

2021年度の二輪車市場動向調査によると、50ccのスクーターを保有している人の週平均使用日数は4.5日。1ヶ月を4週間とすると、月間使用日数の平均は18日になります。

 月間走行距離の平均は154kmであるため、使用日数、走行距離ともに平均のライダーが1日あたりに走行する距離は、およそ8.5km。ツーリングで遠出でもしない限り、日常的な使い方で電欠になることはなさそうです。

 また、補給回数が増えるのをデメリットだと思う人もいるかもしれません。たしかに、航続距離が263kmであるビーノの場合、1日の走行距離が8.5キロであれば、理論上1ヶ月に1回の給油で事足ります。

 一方、Eビーノが同じ距離を走ると、3日に1回のペースで充電する必要があります。たしかにこれは、一見不便なことのように思えるかもしれません。

 ただし、ガソリンの給油と異なり、バッテリーの充電は家でおこなえることを考慮する必要があります。ガソリンスタンドが近くにない場合は、むしろ家で充電する方が圧倒的に楽なケースも。