ホンダ、中国で希望退職1700人応募。日系のリストラが「衝撃」とも言えない2つの理由

AI要約

広汽ホンダが希望退職を募集し、1700人が応募。中国自動車市場はEV化が進み、日系メーカーはシェア低下。

日本自動車メーカーは好調だが、中国市場が課題。新車販売の43.7%が新エネルギー車に。

広汽三菱の販売減少や広汽集団の純利益減少など、中国市場での日系メーカーの苦戦が続いている。

ホンダ、中国で希望退職1700人応募。日系のリストラが「衝撃」とも言えない2つの理由

中国国有大手の広州汽車集団(広汽集団)とホンダとの合弁会社「広汽ホンダ」が、希望退職の募集を始め、従業員の14%にあたる約1700人が既に応募したと報じられた。中国の自動車市場はEV化が加速し、ガソリン車主体の日系メーカーはシェア低下に歯止めがかからない。ただ、ホンダの希望退職は中国ではそれほど話題になっていない。「昨日の勝者が今日の敗者」になる変化の激しい中国市場では、つい最近まで絶好調だったメーカーもリストラに動いており、ホンダの人員削減は相対的にはマイルドだからだ。

日本の自動車メーカーの2024年3月期連結決算は総じて好調だった。大手7社の売上高はいずれも過去最高で、トヨタ自動車は営業利益が日本企業として初めて5兆円台に乗った。ホンダは営業利益、純利益ともに過去最高だった。日産自動車は従来予想を下方修正したが、それでも純利益は前期比で92%増加した。

円安に加え、北米でのHV(ハイブリッド車)の好調が追い風になった。

好決算に隠れて目立たないが、アキレス腱になっているのが中国市場だ。全国乗用車市場信息聯席会(CPCA)によると、今年4月の中国新車販売における新エネルギー車(EV、PHV、FCV)の比率は43.7%に達し、昨年4月の32%から大きく上昇した。

EVシフトが加速する中で、BYDを筆頭に中国メーカーが台頭し、日本車のシェアは右肩下がりで減少している。

中国汽車工業協会によると2020年の日系車の中国でのシェアは23.1%で、売れる車の4台に1台が日系メーカーだった。それが直近の2024年1~4月は12.2%まで縮小した。

メーカー別に中国での2023年の新車販売台数をみると、トヨタは前年比1.7%減の190万7600台で、2年連続で前年割れした。ホンダは同10.1%減の123万4181台で、3年連続の前年割れだった。日産は同16.1%減の79万3768台で、5年連続で前年実績を下回った。

広汽集団、三菱自動車、三菱商事の3社が設立した広汽三菱は2017~2019年の販売台数が年間11万~14万台だったが、2022年には3万3600台まで減少。2023年秋に生産撤退を決めた。広汽三菱の生産ラインは、広汽集団車傘下の新興EVメーカー広汽埃安新能源汽車(AION)に移管された。

合弁を組んでいた広汽集団自体も痛手を負っており、2023年12月期は、売上高が前期比17.48%伸びたものの、純利益は同45.08%減となった。同集団は1998年の設立後にホンダと合弁会社を設立している。加えて、その後トヨタ、日野自動車、三菱自動車と日系メーカー計4社と手を組むなど、「ホンダやトヨタなどの日系メーカーに学ぶことで、技術や品質、人材のレベルを上げてきた」(曽慶洪会長)。だが売り上げの多くを占めるトヨタ、ホンダ(中国では「両田」と呼ばれる)の失速が、減益に直結した。

中国の国有自動車大手、東風汽車集団の2023年12月期の最終損益は39億元(約810億円)の赤字で、同社が香港取引所に上場した2005年以降初めて赤字になった。全体の売上高は伸びたものの、日産との合弁である「東風汽車」とホンダとの合弁「東風本田汽車」から得る利益が大幅に減ったことが影響した。