自動車メーカーが羨ましい! 現場のディーラーが「長期休暇」を取れない根本理由

AI要約

自動車ディーラーの長期休暇に関する現状と問題点について考察。

ディーラーにとっての長期休暇の対応や課題。

顧客とディーラーの間で生じる連休中の課題や対応策。

自動車メーカーが羨ましい! 現場のディーラーが「長期休暇」を取れない根本理由

「働き方改革」によって、自動車ディーラーの勤務態勢が改善されて久しいが、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの長期休暇は、全ての店舗が同じように休めるわけではあらない。

 顧客にとっては、長期休暇中もディーラーが緊急時に対応してくれることは安心材料だが、実際に働く側の立場からすると、その考え方はかなり異なる。ここでは、筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)の視点も含めて考えてみよう。

 2024年のカレンダーを基にすると、例えばゴールデンウィークは4月27日から29日までと5月3日から6日までの「飛び石」連休だったが、会社によっては最長10連休という特別休暇を取ることもあった。

 ディーラーは、メーカーのブランドを背負って営業するが、フランチャイズ形式であり経営母体は異なるため、休暇の取り扱いも会社の方針によって違う。一部ではカレンダーどおりに休むこともあるが、4月30日から5月3日など、変則的な休みを取ることも少なくない。

 前者は世間とさほど変わらないが、問題なのは後者である。現場はさまざまな問題を抱えている。

 筆者は、自動車ディーラーも「サービス業」に含まれると認識している。顧客あっての商売であり、顧客に不利益が生じたら本末転倒だからだ。しかし、たとえ営業していたとしても、長期休暇中にディーラーができないことはたくさんある。

 ディーラーが営業していても、メーカーは基本的に

「超長期休暇」

に入っているケースが多い。冒頭で書いたような特別休暇を設定し、最大で10連休になるケースも少なくない。ということは、この期間に顧客から受けた注文は、メーカーに発注できたとしても、納期の一次回答は早くても

「連休明け」

になるのだ。そもそも最近は新車の納期が長くなっており、注文してすぐに納車されるとは限らない。しかし、営業担当者が顧客に納期を説明する際、休日前の情報に頼らざるを得ない。これは実にもどかしい。また、

「連休中は外出しないないから」

と整備をお願いされるケースも多い。部品交換が必要な場合、その供給網も停止しているため、店舗在庫以外の部品が必要な場合は、連休明けに再入庫してもらわなければならない。顧客にとっては二重、三重の手間である。しかも、入庫前に営業やフロントのスタッフが説得して来店してもらわないと、後でクレームになる可能性もある。

 そもそも、長期休暇中に顧客がディーラーに来ることはあまりない。当たり前のことだが、レジャーや帰省中の人が多いからだ。たとえ営業していても、閑古鳥が鳴いている。電話で集客しようとしても、留守だったり、電話に出なかったりすることが多い。

・本気でクルマを買いたい人

・何かあったときにメンテナンスを頼みたい人

以外は、なかなか来ないのが実情だ。